「東京オートサロン」ではさまざまなカスタムカーがお披露目されますが、2024年に開催された同イベントでは、トヨタが市販化を断念した「S-FR」を手作業で作り上げたモデルが出展されました。
■「S-FR」まさかのコンバーチブルで完全再現!?
カスタムカーの祭典として知られる「東京オートサロン」ですが、次回の「東京オートサロン2025」は、2025年1月10日から12日までの3日間開催されます。
チューニングショップのユニークなカスタムカーが一堂に会するほか、近年は自動車メーカーが新型モデルを発表する場になるなど年々規模を拡大しており、毎回大盛況となっています。
そんな東京オートサロンで注目されるのは、自動車学校の学生たちが制作する斬新なモデルです。
「東京オートサロン2024」で話題となった、埼玉自動車大学校が出展した「S-FR コンバーチブル」とは一体どのようなモデルなのでしょうか。
まず、「S-FR」とは、トヨタが「東京モーターショー2015」で世界初公開した小型スポーツカーのコンセプトモデルです。
「150万円で買えるFRスポーツ」という発想で開発され、エンジンをフロントミッドシップに搭載し、FR(後輪駆動)レイアウトを採用。
5ナンバーサイズの軽量ボディを6速MTで操ることができるという、走る楽しさを追求しました。
S-FRは市販化に向けて開発が進んでいたものの途中で白紙に戻されたとされており、“幻のスポーツカー”といえるモデルですが、それをオマージュしつつ、さらにコンバーチブル化を実現したのが埼玉自動車大学校のS-FR コンバーチブルです。
このS-FR コンバーチブルはマツダのオープンカー「ロードスター(NC型/3代目)」をベースとし、パワートレインやトランスミッション(6速MT)などもNCロードスターのものをそのまま使用しています。
ドアやボンネットもNCロードスターのパーツをほぼそのまま流用しているのですが、外観のほかの部分はハンドメイドで仕上げられました。
丸目ヘッドライトは、3代目「ミニクーパー」のものを装着。2014年に登場した初期モデルの灯体に、マイナーチェンジ後モデルのポジションランプを移植したオリジナルで、「MINI」のロゴが残されています。
さらに大型フロントグリルやフロントスポイラー、カナード類などは、FRP(繊維強化プラスチック)を用いて自作したといい、木の板でベースの型を作り、そこにFRPを貼り込んで作られました。
リアは、レーシングカーをイメージした大型リアウイングやアンダースポイラーを装着。テールランプはダイハツ「キャストスポーツ」のクリアテールを活用したほか、マフラーはNCロードスターの純正パーツを切って縮めたうえでマフラーカッターを装着し、WORKのホイールと、BLITZの車高調を備えています。
内装は、BRIDEのバケットシートとMONOのステアリングに置き換えられ、ソフトトップも新品に交換されているのですが、それ以外の部分はNCロードスターのパーツが生かされました。
制作に携わった学生に話を聞くと、「『S-FRが市販化されれば良かったのに…』ということを発端に、自分たちで作ることにしました。とはいえ、なかなか上手くいかなくて、めちゃくちゃ大変でした」とのこと。
市販車のS-FRが存在しないため、手作業でパーツを作り上げたのが大変だったといいます。
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このS-FR コンバーチブルの完成度は非常に高く、多くの来場者が足を止めて見入っているなど注目を集めていました。
東京オートサロン2025でも、埼玉自動車大学校はユニークなモデルを出展してくれるのではないでしょうか。