トヨタがかつて披露したミッドシップスポーツカー「テスハチ」について、現在もなおSNSなどではさまざまなコメントが寄せられています。
■まさかの「ハイブリッドミッドシップスポーツカー」
エンジンを車両中央に搭載するミッドシップは、重量バランスに優れ、非常に俊敏なハンドリングを特徴とします。
トヨタでは「MR-S」を最後に販売されていませんが、実は2014年に新たなミッドシップスポーツカーを公開していました。今もなお、SNSなどで期待が寄せられています。
それが2014年開催の「東京オートサロン」で披露されたコンセプトカー「TE-Spyder 800」です。
手掛けたのは、1947年発足のトヨタの有志団体「トヨタ技術会」が担当。課外活動を行う有志によって製作されました。
公開時、誕生の経緯やコンセプトについて、「かつての大衆車『パブリカ』のコンポーネンツを利用して生まれたライトウェイトスポーツ『トヨタ スポーツ800』の感動を、現代でも味わいたい」としています。
そのため、TE-Spyder 800には、トヨタ スポーツ800の愛称である“ヨタハチ”をもじった“テスハチ”という呼称が与えられています。
ベースとなったのは、トヨタでも数少ないミッドシップレイアウトを採用したライトウェイトオープン2シーター MR-S。
ただし、パブリカ同様に大衆車からの派生モデルというキャラクターをもたせ、“現代版大衆車”と呼べる「プリウス」のハイブリッドシステムを採用。
そのため、MR-Sに標準搭載の1.8リッターのスポーツユニットではなく、「オーリス」などに搭載されていた1.5リッター4気筒「1NZ-FE」型を最高出力85kW/150N・mまでファインチューニングし搭載。
そしてプリウスに搭載されているモーターを電圧アップとともに組み合わせPHEV(プラグインハイブリッド)としています。
もちろん駆動方式はMRで、トランスミッションはハイブリッドシステムを搭載したことで電気式無段変速機を採用。シフトはスポーティなボタン式に置き換えられています。
非常に重たい駆動用バッテリーは、MR-Sやヨタハチのような優れたハンドリングを実現するために、センターコンソールに縦長に配置。ハイブリッドシステム用のインバーターやコントロールユニットなどはフロントに収めています。
これにより車重は1tを切る軽量化を実現。実は車名の800は排気量ではなく、車両重量の目標数値を意味しています。
そうした軽量ボディやパワートレインの強化で0-100km/h加速は5.8秒を実現。非常に俊敏な走行性能も持っていました。
エクステリアはMR-Sから大きく変更。トヨタのいずれのモデルにも似つかない、独特のスタイリングです。今見ると、どことなくホンダ「S660」に近い雰囲気も感じさせます。
なお、ボディパーツにはFRP素材やカーボンを用い、フロアやメンバー類、バルクヘッドなどにはアルミも活用するなど、本格的な軽量化を実現していたのは、さすがトヨタ技術会といったところです。
トヨタ公式のもではなく、量産は難しかったようで、登場から10年が経過した現在でも、残念ながら市販化は実現していません。
しかし、SNSなどでは「うわーーコレは欲しい」「売って!」と、市販を求める声も少なくないようです。
また、「すご。夢があっていい…」「トヨタ技術会の技術すげえ!」など、驚きの声とともに、「知らなかった」「MR-Sの後継みたいなのあったんだ」「MR-Sのハイブリッド仕様!」など、新たなミッドシップスポーツカーの姿を模索していたことに関心を持つコメントも多くみられました。
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次回の東京オートサロンは2025年1月10日から3日間、幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催されます。
トヨタだけでなくさまざまなチューナーやショップによる渾身のカスタムモデルにも期待が高まるばかりです。