トヨタの名機「2JZ」にエンジンスワップしたホンダ「S2000」のドリフトマシンがeBayに出品されました。その驚愕のカスタムはどのようなものだったのでしょうか。
■トヨタの名機「2JZ」エンジン搭載!?
英国eBayで、トヨタのエンジン「2JZ」を積んだ、ホンダ「S2000」のドリフトマシンが出品され、2024年11月26日(現地時間)に2万2000ポンド(1ポンド=196円の為替レートで約431万円)で売買されたことが明らかになりました。
eBayは、1995年に設立されアメリカに本社を置く世界最大のECサイトで、現在日本を含む190カ国、出品数20億点、1.32億人のバイヤーという巨大マーケットプレイスとなっています。
S2000は、1999〜2009年に販売されていた2人乗りのオープン・スポーツカーで、ホンダとしては1970年に販売終了した2人乗りスポーツカー「S800」から28年ぶりとなるFRレイアウトを採用しました。また、新車価格は360〜399万円となっていました。
トヨタ「2JZ」エンジンは、3.0リッター直列6気筒DOHC24バルブで、ボアストロークが86.0mm×86.0mmのスクエア型。1991年発売の9代目S14系「クラウン」や1992年発売の7代目X90系「マーク2」「クレスタ」「チェイサー」、1993年発売の4代目A80型「スープラ」などに搭載されました。
■4300万円の「S2000」ドリフトマシンの驚愕のスペックとは?
eBayに出品されたドリフト仕様S2000は、相当なカスタマイズが加えられています。
エンジンはフル鍛造へ再構築され、Precision製「Gen2 6266」のターボを付け、ECU MASTER製のデータロガーを備えた「BLACK ECU」に換装されています。また、メータークラスターもECU MASTER製のデジタルメーターに換装されています。
ドライブトレーンはスープラのものに換装され、KAAZ製の2WAY デフを追加し、ギアボクスも交換されています。
室内はフルゲージ化、ドアバーで補強、フルバケットシートを装備しています。
エンジンルームの写真を見ると、赤いエンジンヘッドとその脇の6連のインテークマニホールドが異様なただ者ならぬ雰囲気を醸し出しています。
なお、エンジンの型式詳細や、どの世代のスープラのドライブトレーンが移植されたのかの詳細は不明ですが、エンジンヘッドには「VVT-i」の文字が見えることから、おそらくスープラ(A80)に搭載された、最高出力280PS・最大トルク451N・mを発生する、VVT-i化された第2世代「2JZ-GTE」インタークーラー付きツインターボかと推測できます。
2JZ-GTEは、低負荷時は1基、高負荷時は2基のターボチャージャーを駆動するシーケンシャル方式となっており、「トヨタの最強エンジン」との呼び声も高い名機中の名機です。
最高出力は当時の自主規制280PSとなっていますが、チューニング次第では1000PS以上の最高出力を発生させることも可能となっています。
今でも多くの愛好家が存在し、2JZのチューニングを専門的に行うショップもあります。
また、日本国内で開催されるドリフト競技「D1」では、2JZエンジンを搭載したドリフトマシンが多数参戦しています。さらに、他メーカーのクルマにエンジンスワップしていることが多いのも特徴的です。
eBayで落札されたS2000ドリフトマシンは、4300万円という高額で取引されましたが、もはや「S2000をエンジンスワップしドリフトマシン化した」というより、「90スープラにS2000のボディを被せた」とい表現したほうが正しいくらいのカスタムが実施されているので、妥当な価格だったのかもしれません。
参考までに、現在の日本国内の中古車市場において、S2000の価格相場は安いものでも200万円ほど、主流は300〜700万円台となっており、極上の程度の個体では1500万円以上のプライスがつく状況となっています。