過去に発表されたコンセプトカーの中には、市販化が期待された魅力的なモデルが数多く存在しました。過去に日産から提案された「IDx」も、まさにそんな1台でした。
■日産が提案する「次期シルビア!?」
2025年1月10日から12日までの3日間、世界最大級のカスタムカーイベント「東京オートサロン2025」が開催されます。
このような自動車イベントでは、自動車メーカーやチューニングショップ各社から、数多くのコンセプトカーが登場して話題を集めます。
なかでも、次期「シルビア」と噂されて注目を集めた1台である、日産の「IDx(アイ・ディー・エックス)」について、どのようなモデルだったのかを紹介します。
IDxは、日産が日産自動車としての創立80周年を記念し、2013年に開催された「第43回東京モーターショー」で発表した2ドアクーペモデルのコンセプトカーです。
同車においてまず注目されたのは、そのスタイリングでした。
スポーツモデルのコンセプトカーといえば、スポーツカーらしい流線形のフォルムが多いなか、IDxは全体的に直線で構成された箱型のボディを採用。
さらにフロントマスクも、初代シルビアのようなクラシカルなデザインとなっていました。
このスタイリングは、初代シルビアや3代目「ブルーバード」からインスパイアされたものといわれており、当時は「これが次期シルビアになるのでは!?」と大きく話題となったほどです。
一方でインテリアは、レトロモダンな外観とは異なっており、デニム地を用いるなどカジュアルに仕上がりに。
このようなギャップのある内外装の印象も、IDxならではの魅力のひとつでした。
日産はクラシカルを追求したIDxのスタイルを「Freeflow(フリーフロー)」というサブネームとともに発表しましたが、さらにIDxにはスポーティなモデルも開発されていました。
それが「IDx Nismo(ニスモ)」です。
このニスモ仕様のIDxでは、オーバーフェンダー風のデザインのボディにカーボン製のスポイラーなどエアロパーツを装備し、マフラーもサイドに2本出しと、攻撃的なスタイルを採用。
ボディサイズは全長約4100mm×全高約1300mm×全幅約1800mmです。
パワートレインには「ジュークNISMO」にも用いられていた、最高出力196馬力を発揮する1.6リッターの直列4気筒ガソリン直噴ターボエンジンを搭載し、6速マニュアルモード付CVTを組み合わせて、後輪で駆動します。
またカラーリングは、白と黒をベースに、赤色をワンポイントで用いた配色となっているのが特徴。
これはかつてアメリカのレースシーンを席巻した、ブロック・レーシング・エンタープライズ(BRE)の「ダットサン510」のボディカラーをイメージしたものとされています。
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このように、フリーフローおよびニスモという異なる個性を持つコンセプトカーのIDxは、先述のように「シルビア後継モデル」と見なされ、市販化を求める声も多く寄せられました。
しかし発表からすでに10年以上経過していますが、残念ながら現在までにその要望は実現されていません。
ちなみに、2017年公開の映画「ワイルド・スピード ICE BREAK」には、秘密倉庫のシーンでIDx Nismoがチラリと登場しています。
一瞬だけですが、ファンならずともニヤリとしてしまうワンシーンですので、貴重な姿をチェックしてみてはいかがでしょうか。