クルマの「車検」切れたまま気付かずに公道を走ってしまうケースが少なくないようです。どうして「うっかり車検切れ」が起こってしまうのでしょうか。
■街を走る900台のうち1台は「車検切れ」の可能性も!?
アナタの愛車の「次の車検」はいつですか!? 案外気付かないまま「うっかり車検切れ」となるケースもあるといいます。
車検切れの罰則から「ついうっかり」に向けた新たな対策まで、あらためて“車検切れ”について考えます。
車検が切れたまま公道を走行すると、最低2つの法律に違反します。ひとつは「無車検運行等」、もうひとつは「無保険運行」の違反行為となります。
いずれの違反も点数は6点の一発免停、無車検運行等違反の罰則と罰金は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金、無保険運行は1年6カ月以下の懲役または80万円以下の罰金が科せられます。
この罰則と罰金は、履歴書の「賞罰」の欄に記載が必要となる刑事処分、刑事罰にあたります。
車検が切れたクルマは、同時に自賠責保険(強制保険)も切れていることになり、2つの法律違反が重なります。
交通違反を2つ以上同時に重ねて犯してしまった場合、違反点数はいずれか最も高い点数のみが加算されます。
しかし、罰則と罰金は「併合罪」となり、刑法第47条(有期拘禁刑の荷重)により、最も重い罪の1.5倍の刑が加算(ただし、それぞれの罪について定めた刑の合計を超えない)されるため、無車検運行等と無保険運行の2つの併合罪では、1年6カ月以下の懲役または80万円以下、免停期間は90日(前歴なしの場合)となります。
国土交通省は2019年3月29日、車検切れ車両の捕捉台数を発表しました。
2018年9月から翌2019年3月の期間、可搬式「ナンバー自動読取装置」を用いて35都道府県・43カ所で計46回の「車検切れ運行車両」の街頭調査を実施。
3万7403台を調査したところ、そのうち43台が車検切れ車両となっていたとのことです。
車検切れ運行率は0.11%、およそ900台中1台が車検切れという計算になります。
もし10秒に1回の平均で対向車とすれ違う道路を走行していたなら、約3時間で1台は車検切れのクルマとすれ違う計算になります。
■ついうっかりを防ぐ「対策」とは
うっかり車検切れとなってしまう原因はどこにあるのでしょうか。
こうしたことは、新車よりも中古車に発生しやすい傾向にあるようです。
一般に新車を購入した場合、車検が近くなると新車ディーラーからメールやハガキなどでオーナーにお知らせが届きます。
一方中古車の場合では、状況が異なります。
まず中古車は、購入時点で車検がどれくらい残っているか、クルマによってまちまちです。
もちろん中古車販売店によっては、車検が近くなるとオーナーにお知らせを出すケースも多く見られますが、通知発送自体は中古車販売業の義務となっていません。
したがって通知がこない中古車オーナーもいるでしょう。
またこれは新車の場合でも同様ですが、購入後に転居したことを販売店に知らせなければ、車検の案内が届かなくなる可能性もあります。
こうして、無意識なままに「うっかり車検切れ」が発生するという流れが発生しています。
もちろん、自分のクルマの車検証やフロントウインドウに貼られた「車検ステッカー」をしっかりとチェックしていれば防げたはずのことです。
しかし実際に“うっかり”が発生している事実を考えると、さらなる対策が必要でしょう。
そこで2023年7月から、車検ステッカーの貼り付け場所に関する規則が変更されました。
それまでの車両の「前方から見やすい位置」と定められていた規則が、「前方かつ運転者から見やすい位置」になったのです。
この変更により、車検が切れる年月日が記載された車検ステッカーは、フロントウインドウの右上隅(右ハンドルの場合)に貼られることが多くなりました。
もちろん安全な運転のための視界確保ができない場合は、これに限らず運転者から見やすければルームミラー付近でも構わないという決まりになっています。
いずれにせよ、運転者は常に視界の範囲内に車検ステッカーが存在することになりました。
2023年7月以前に車検を済ませた中古車ではまだ運転者から見えにくい、もしくは見えない位置に車検ステッカーが貼られている可能性が高いです。
今一度、愛車の車検の有効期限のご確認をオススメします。