愛知・岐阜・三重の中京圏を郊外にぐるり一周する高速道路「東海環状道」が、2025年にさらに開通を迎えます。全通まであとわずかとなっている東海環状道、どこまで工事が進んだのでしょうか。
■全通まで「あと3年以内」
愛知・岐阜・三重の中京圏を郊外にぐるり一周する高速道路「東海環状道」が、2025年にさらに開通を迎えます。
全通まであとわずかとなっている東海環状道、どこまで工事が進んだのでしょうか。
実は、高速道路の移動が「劇的に変化する」ほどの開通予定が、すぐ目の前に迫っています。
東海環状道のルートは、新名神「新四日市JCT」から北上し、名神「養老JCT」、東海北陸道「美濃関JCT」、中央道「土岐JCT」を経て、新東名「豊田東JCT」へ接続するものです。総延長は約153kmです。
東海環状道の最大のメリットは、高速道路の乗り継ぎがスムーズになり、渋滞を避けられることです。
たとえば新名神~東海北陸道の乗り継ぎは、現在は「実質的に不可能」なレベルで不便です。どうしても三重から高山・富山方面へ行きたい場合、わざわざ「名二環→名古屋高速→名神」という煩雑なルートしかありません。
そこへ、東海北陸道は新四日市JCT~美濃関JCTを独立ルートで直結します。まさに悲願の乗り継ぎルートと言えるでしょう。
また、名神~東海北陸道の乗り継ぎは、全国レベルで悪名高い渋滞ポイント「一宮JCT」が待ち構えています。どうしようもない交通集中で、どこからどこへ向かうにも渋滞は避けて通れない難関でした。
そこへ東海北陸道は、養老JCT~美濃関JCTというバイパスルートを提供することとなり、一宮JCTの渋滞は「完全に過去のもの」となります。
他にも新名神・東名阪~中央道も乗り継ぎがややこしく、名古屋高速を経たり、豊田から東名をバックして小牧JCTへ向かっていました。しかし東海北陸道の東半分が2005年に一気開通。豊田からまっすぐ進めば土岐JCTへ抜けられるようになりました。
このように、とにかく「名古屋圏を通らなくてもいい」という状況を生み出したのが、東海北陸道でした。
ところで、そんな東海北陸道は、西半分がまだブツ切れの中途半端な状態。
先述の悲願ともいえる「新名神~東海北陸道」「名神~東海北陸道」のバイパスルートこそが、まだ実現していないのです。
未開通となっている工区は以下の3つです。
●【2024年度開通予定】大安~いなべ
●【2026年度開通予定】いなべ~養老
●【2024年度開通予定】大野神戸~山県
このうち、北西工区の「大野神戸~山県」がつながれば、悲願の「名神~東海北陸道」がついに実現することになります。
具体的な開通日時はまだ発表されていませんが、2024年度も残すところあと3か月ほど。来年3月までには、「一宮JCTスルー」が可能になります。
…と言いたいところですが、じつは大野神戸~山県のうち、南側(大野神戸~岐阜)で思わぬ工法変更を強いられ、ことし3月に「最大半年ほど遅れるかもしれない」という発表もなされています。今のところ「正式に遅れます」という発表は特にありませんが、果たして結局予定通りに進むのか、動向に注目です。
とはいえ、中部国道事務所はほかにも開通ラッシュを迎えており、10月に「つながる中部 42.6km」というPRキャンペーンを開始。中京圏が大幅に便利になるとアピールしています。
さていっぽう、最後の最後まで未開通で残る区間「いなべ~養老」はどうなっているのでしょうか。2026年度開通予定とありますが、順調なのでしょうか。
こちらもやはり一筋縄ではいかないようで、三重・岐阜県境をつらぬく約4700mの「養老トンネル」工事中に大量の湧水が発生。対策に追われています。「予定から遅れるかも」という見通しは無いので、今のところ2027年3月までには開通を迎えるべく動いている状況です。