Infoseek 楽天

自分で「タイヤ交換」“ホイールナット”をガッチリ締めたつもりが逆効果! 最悪ちぎれる!? 意外と知らない「正しい作業手順」とは

くるまのニュース 2025年1月11日 20時10分

自分でタイヤ交換する際、ホイールナットの締めすぎに注意が必要です。きつく締めすぎるとナットがちぎれることもあるというのですが、正しく作業するにはどうしたらいいのでしょうか。

■力任せにホイールナットを締めればいいってもんじゃない!?

 本格的な冬が到来し、クルマも冬用の「スタッドレスタイヤ」に交換するなど冬支度が必要です。
 
 なかには自分でタイヤ交換をするという人もいるかと思いますが、DIYで作業する際はさまざまな注意点があります。
 
 そのひとつとして「ホイールナットの締めすぎ」が挙げられます。

 ホイールナットとは、クルマのボディとホイールを固定しているパーツです。

 エンジンからのパワーが各駆動シャフトを通じて、ドライブシャフトへ伝わることで「ハブ」が回転しますが、このハブとホイールを固定させているのがホイールナットです。

 もしこのホイールナットの締めが甘かった場合、走行中に固定されていたナットが緩んできます。

 最初はクルマの振動を感じるくらいで済むかもしれませんが、段々緩みが悪化してくると最悪の事態「タイヤの脱落」が起こる可能性があるのです。

 国土交通省の調査によると、2022年度にタイヤの車輪脱落事故は140件起きていて、毎年1人から5人程度の人身事故も発生しています。

 その140件のうち、車輪脱着作業後から車輪脱落事故まで1か月以内に74件、つまり事故全体の52.8%がタイヤ交換から1か月以内に起きたことが明らかになっています。

 タイヤの脱落の原因はホイールナットの締め具合だけで起きるものではなく、ホイールナットやボルトの著しい錆びや汚れ、スムーズに回転できないホイールナット、ディスクホイールの損傷なども原因として挙げられます。

 ただし、52.8%が1か月以内に起きていることと、ホイールナットの締め具合が一因となり得るため、事故の可能性を減らすためにもホイールナットをしっかり締めることが重要なのです。

 しかし、「締めすぎ」も悪影響や事故の原因になることがあるというのですが、一体どういうことなのでしょうか。

 まず、ホイールナットには適切なナットの締め具合を「Nm(ニュートンメートル)」という単位で示しており、適切な締め具合を「適正トルク」と呼びます。

 適正トルクは、軽自動車では80Nmから100Nm、普通車では90Nmから120Nmが目安とされていますが、車種によって規定トルクが定められているので、取扱説明書など確認するといいでしょう。

 タイヤ販売店やカー用品店、自動車販売店などでタイヤ交換した際、ホイールナットを取り付けるときにNmを設定できる「トルクレンチ」を使用しますが、一般ユーザーが自分で作業する際は、「クロスレンチ」や「L型レンチ」で自分の勘を頼りに締めるケースが多く、適正トルクを超えていることに気づけないパターンがあります。

 締めすぎた場合はハブボルトが折れて切れてしまったり、ホイールナットやボルトのネジ山、ホイール自体が損傷する可能性もあり注意が必要です。

 ハブボルトはクルマの本体とホイールを固定するボルトの部分を指し、ホイールナットを締めていくとわずかに伸びていきますが、元に戻ろうとする力を利用してホイールを押さえる役割を果たしています。

 もしも締めすぎるとハブボルトが異様に伸びて最終的に折れてしまい、複数のハブボルトが折れるとタイヤの脱落の可能性があり、非常に危険です。

 ホイールナットを締める際は、まず1か所を締めたら対角線上にあるナットを順々に締めていくのが正しい手順ですが、すべてのナットを適正トルクかつ同じトルクで締めていくこともポイントとなります。

 そのためにも、やはりトルクレンチを使用した方が、確実に同じ力で締めることができるでしょう。

※ ※ ※

 安全のためにしっかりホイールナットを取り付けたつもりが、締めすぎにより事故を起こしたり、多額の修理費用がかかったりしては元も子もありません。

 また常に適正トルクで締めていたとしても、ホイールナットやボルトの錆びなどクルマの利用状況により部品の傷みは避けられません。

 タイヤ交換の際はただ単に交換するだけではなく部品の状態に問題がないかも見ておくといいでしょう。

この記事の関連ニュース