街でクルマを運転していると、複雑な信号機が設置されている場所や、特殊な形状の道路を通行しなければならない場面があります。過去にSNS上ではクルマで大きくカーブした道路を曲がるときにウインカーを「出す・出さない」で意見が割れました。では交通ルール上はどちらが正しいのでしょうか。
■SNSでは左ウィンカー派と右ウィンカー派で意見が分かれた!
クルマで脇道から主要な道路へ出る際に、道路の形状が「逆Y字型」だとウィンカーを左と右どちらに出すべきか迷うことがあります。
では、一体どのように判断すれば良いのでしょうか。
街でクルマを運転していると、複雑な信号機が設置されている場所や、特殊な形状の道路を通行しなければならない場面があります。
中でも脇道が主要道路と鋭角に接続している「逆Y字型」の道路においては、脇道から主要道路の進行方向へと進む際、左と右どちらのウィンカーを出せばよいのか迷うドライバーも少なくありません。
実際のところ、SNS上では「近所に逆Y字型の道路があるけどクルマによってウィンカーの出し方がまちまち」という声が寄せられており、ドライバーによって判断が異なる状況がうかがえました。
このような道路の通行方法に関しては「脇道側に一時停止があるなら左ウィンカーを出す」「ハンドルを切る方向にウィンカーを出すと習ったので、左方向に行きたいなら左ウィンカー」など“左ウィンカー派”の意見が多く聞かれます。
その一方、「主要道路を走っているクルマに見えるよう右ウィンカーを出している」という声や「高速道路での合流のイメージで右ウィンカーを出している」という“右ウィンカー派”の意見もみられました。
では交通ルール上は、どちらにウィンカーを出すのが正解なのでしょうか。
実はウィンカーの出し方は、その道路が「交差点」と「付加車線」のどちらに該当するかによって異なります。
まず交差点については、道路交通法で「十字路、丁字路その他二以上の道路が交わる場合における当該二以上の道路の交わる部分」と定義されており、当然交差点を左折するなら左ウィンカー、右折するなら右ウィンカーが必要です。
次に付加車線は一般的に高速道路や自動車専用道路の進入部、合流部などにみられる車線で、本線車道にすりつけられる形で接続する道路をいいます。
この付加車線を走行して本線車道に合流する行為は、左折や右折ではなく「進路変更」に当たり、右ウィンカーを出す必要があります。
これらを踏まえると、逆Y字型の道路は2本以上の道路が交わる「交差点」であり、脇道から主要道路の進行方向へ進む場合は「左折」に該当するため、左ウィンカーを出すのが正解です。
逆Y字型の道路については「脇道の交わる角度を緩くしていくと丁字路交差点になる」と考えれば分かりやすいかもしれません。
また交差点の場合は基本的に、主要道路でない側の道路に一時停止標識や停止線などが設置されていることから、それを判断材料としても良いでしょう。
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なお過去にとある都道府県警察の警察官に取材した際には次のような回答がありました。
「大通りに合流するような形の道路で合図をどちらに出せばいいか迷ったときには、停止線があるかどうかを確認してください。
停止線であれば交差点なので左に、停止線がなく車線が点線であれば合流になるので右に合図します。
左に合図を出すと合流先の道路を走行するクルマからは合図が見えないと不安になるかもしれませんが、停止線がある場合は左に出してください」
■他にもある「右ウィンカーを出すべきか」問題! どうすれば良い?
ドライバーの中には、上記のように「主要道路を走っているクルマに見えるよう右ウィンカーを出す」という人もみられますが、周囲のドライバーからは「右折するかもしれない」と判断され、かえって混乱をまねくおそれもあります。
逆Y字型の交差点において脇道から主要道路に進入する際は正しいウィンカーを出し、十分な安全確認をおこなうことが大切です。
そのほかSNS上では、急な右カーブに他の道路が垂直に接続した「r」のような形状の道路を通行する際に「右ウィンカーを出すべきか」という問題が議論されたこともあります。
急な右カーブではハンドルを大きく右に曲げるため、ついつい右ウィンカーを出したくなるというドライバーもいますが、道なりのカーブは交通ルール上「直進」と同じ扱いであり、ウィンカーを出す必要はありません。
ただし右カーブと垂直に接続した他の道路に進む場合は、主要な道路から別の道路に出るという意味で、左ウィンカーでの合図が必要となります。
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普段走り慣れていない道路や形状が複雑な道路では、誤った運転をしてしまう可能性があります。
特に必要な場面でウィンカーを使用しないと「合図不履行違反」に該当するほか、周囲の車両を混乱させるおそれがあるため、十分に注意しましょう。