大阪市北部の貴重な「東西軸」となる都市計画道路「歌島豊里線」の事業が進められています。開通すれば一体どう便利になるのでしょうか。また事業はどこまで進んでいるのでしょうか。
■新大阪駅からの東西アクセス
大阪市北部の貴重な「東西軸」となる都市計画道路「歌島豊里線」の事業が進められています。
開通すれば一体どう便利になるのでしょうか。また事業はどこまで進んでいるのでしょうか。
大阪市北部の「淀川3区」(西淀川区、淀川区、東淀川区)は、新大阪駅を中心として、神崎川と淀川に挟まれた、東西に細長いエリアです。
にも関わらず、まともな東西軸の幹線道路は「淀川通」が湾岸線~十三~上新庄をつないでいるだけで、それ以外は路地密集地帯しかなく、移動が不便になっています。
そこで、新たに淀川区~東淀川区をつなぐ東西軸となるのが、歌島豊里線です。
淀川通はエリア南部の淀川沿いを抜けますが、歌島豊里線はエリア北寄りを抜け、新大阪駅前も経由します。
具体的なルートですが、休眠工区を除外すると、新高1丁目(国道176号)~新大阪駅(新御堂筋)~淡路~菅原~大桐1丁目(国道476号 内環状線)というもの。
完成すれば、下町情緒のまま旧態依然とした新大阪駅周辺に、念願の東西アクセスルートが誕生することとなります。まっすぐ東進するだけで近畿道(外環状線)へ直結し、逆に東淀川区民にとっては新御堂筋へ出るのがやっとスムーズになります。
おりしも新大阪駅エリアは「都市再生緊急整備」に位置付けられ、リニア中央新幹線の直結も見据えた大規模な再開発が計画されています。そこでも歌島豊里線は位置付けられており、役割に期待がかかっています。
さて、肝心の整備進捗ですが、淡路エリアが阪急京都線・千里線に分断されたままで未開通のままで、東西軸としてはほとんど機能を果たしていません。
なぜここが全然進んでいないかというと、阪急が高架化工事の真っ最中で、これさえ終わればあとは高架下をつなぐだけなのですが、その高架化がなかなか終わらない状況なのです。
「高架切替が2017年度」と言われていた事業は、用地取得の難航などで延期に延期を重ね、現在は「2032年度」となっています。人間の一生くらいの長期プロジェクトになろうとしている阪急高架化は、悲願の東西道路のゆくえをも左右しているのです。
線路の左右はすでに、都市計画幅で道路がほぼ完成形のまま残されています。無駄に舗装を傷めないよう、広い道路幅のうちほとんどはフェンスやガードレールで囲まれたまま、かろうじて片側1車線ずつが通行できる状態です。
新大阪~菅原を通り抜けるクルマは、阪急の線路までたどり着くと、細い路地で北側の「小川・国次踏切」を渡って東西エリアを行き来しています。この踏切が京都線と千里線の「ダブル大動脈」のためになかなか開かず、閑静な住宅地に車列が伸びている様子も見られます。
戦後から大阪市内に網の目のように設定された都市計画道路ですが、そのあゆみは遅く、多くの工区が事業化すらしていません。
そのなかで市は2002年に19か所の「重点整備路線」を選定し、優先的に予算をつけてきました。
このうち最後の最後まで未開通のままなのが、歌島豊里線です。1974年の事業化からはや50年、果たしてつながる日はいつやってくるのでしょうか。