2000年代後半から急速に普及が進んだスマートキー。キー閉じ込み防止機能を備えていても閉じ込みが多発しているようです。その理由と予防する方法を解説します。
■ほぼ標準装備となった「スマートキー」
クルマの中にキーを置いたままドアロックをしてしまう「キー閉じ込み」は、ロードサービス出動理由の上位となっています。
JAF(日本自動車連盟)が発表した「JAFロードサービス 主な出動理由TOP10 2023年度 年間 四輪」では、一般道路の出動理由の第5位が、キー閉じ込みとなっています。
キー閉じ込みによる出動件数は11万7318件、出動理由構成比では5.55%となっています。
単純計算でおよそ30秒に1件、日本のどこかでキー閉じ込みでJAFのロードサービスが出動していることになります。
2000年代後半になってからは、「スマートキー」(メーカーによりスマートエントリー、インテリジェントキーなどとも呼称)が普及してきました。
スマートキーは、カバンやポケットに携帯しておけば、鍵穴を使わずにドアの施錠・解錠ができるというものです。
いまや軽自動車も含め、乗用車ではほぼ標準装備といっても良いほどの普及率となりました。
基本的にスマートキーはキー閉じ込み防止機能を備えていて、キーが車内にある状態ではドアロックが施錠できないようになっています。
それまでのクルマのキーは、物理的なカギをキーシリンダーに差し込んで回しドアロックを施錠・解錠していました。
このアナログ式でドアロックをした状態でドアを閉めると、自動的に解錠する機構となっています。
なおこのときドアハンドルを引いたままドアを閉めると、ドアロックは解錠されず施錠したままになります。
クルマから降りるとき、ドアロックの施錠はキーを使わず、ドアロックをした状態でドアハンドルを引きながらドアを閉めて施錠する癖がついている人は少なくなかったはず。
そのときうっかりキーが車内に置きっぱなしだと、キー閉じ込み(この一連の所作から「インキー」とも呼ばれていた)となってしまいます。
しかし最新のスマートキーにキー閉じ込み防止機能を備えているにも関わらず、今もキー閉じ込みが多発してしまうのは、どうしてなのでしょうか。
■「スマートキー」のキー閉じ込み防止機能が効かない範囲がある
スマートキーでもキー閉じ込みが発生してしまう理由のひとつに、「ラゲッジにキーを入れたままにした」ケースが挙げられます。
スマートキーにリアゲートやトランクリッドの開閉ボタンを備えていても、キー閉じ込み防止機能の動作範囲外としているものが多く存在します。
ドアロックをした状態で、スマートキーを入れたバッグをラゲッジに入れて、リアゲートを閉めてしまうとキー閉じ込みとなってしまいます。
またスマートキーが車内にあっても、インパネやドアポケットなどに置いたままにした場合、車両側のシステムはキーが車外にあると検知してしまうことがよくあるようです。
この場合もキー閉じ込みが発生する主要な要因となります。
トヨタでは、取扱説明書に次のような記載でスマートキー使用時の注意喚起を図っています。
「インストルメントパネル上面・ドアポケット付近に電子キーを置いたまま車外に出ると、電波の状況によっては車外アンテナに検知されて車外からのドアロックが可能になる場合があり、電子キーが車内に閉じ込められるおそれがあるため注意してください」
従来のリモコンキーの場合では、車内に置いたバッグの中などにキーを入れたままにしていると、バッグがシートから落ちたり、バッグ内の物が動くなどなんらかの力が加わってボタンが押されてドアロックが施錠されてしまうことがあります。
リモコンキーは車両とシステムが通信をしておらず、車両側はキーが車内にあっても検知できません。
また、スマートキーの電池消耗がキー閉じ込みを発生させる要因となることがあります。
インパネ内の警告灯などで、電池消耗を通知する機能をもった車種が多くなっています。通知が表示されたら速やかに交換しましょう。
電池消耗通知機能がない車種では取扱説明書を確認し、使用頻度に応じて定期的な予防交換をすることがオススメです。
キーの閉じ込みを予防する方法は、物理キーであれ、リモコンキーであれ、スマートキーであれ、車外に出るときは「キーを持って出る」ことを癖付けるしかないようです。