大阪市の中心部を東西につらぬき、神戸と京都を連結する新たな高速道路「淀川左岸線」が整備中です。完成すれば一体どう便利になるのでしょうか。また工事はどこまで進んでいるのでしょうか。
■工事が順調に進行中
大阪市の中心部を東西につらぬき、神戸と京都を連結する新たな高速道路「淀川左岸線」が整備中です。
完成すれば一体どう便利になるのでしょうか。また工事はどこまで進んでいるのでしょうか。
淀川左岸線は、5号湾岸線「北港JCT」から大阪駅北側を経由し、近畿道・第二京阪「門真JCT」へつながる計画です。総延長は18.7kmです。
完成すれば、大阪臨海部や堺市・神戸方面から、寝屋川・枚方・京都市内へむすぶ直結ルートが誕生します。
第二京阪道路は、2010年に京阪間が全通。いままで国道1号しかなく、信号待ち大渋滞に悩まされていた門真・寝屋川・交野・枚方・八幡といった北河内周辺エリアにとっては、悲願となる「信号ゼロ」道路の誕生となりました。さらに京都市内や京滋バイパスにも直結し、ほぼドアツードアで全国へ抜け出せるようになりました。
いっぽう、第二京阪の大阪側は、近畿道で終わっていて、そこから西側へは不便です。神戸方面へ行くには、いったん近畿道を南下したのち、東大阪JCTから東大阪線・大阪港線で神戸線や湾岸線へ出るしかなく、都心部の狭い阪神高速で混雑に捕まっていました。
そこへ、第二京阪からまっすぐ直通して神戸線・湾岸線につなぐ第二ルートが、淀川左岸線です。
さらに豊崎で新御堂筋に接続し、新大阪駅へのアクセスも便利に。「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」へも高速乗り継ぎ無しでまっすぐ到達可能になります。
そんな淀川左岸線ですが、最初の区間である北港~海老江(5.6km)が2013年までに開通。そこからまずは豊崎の新御堂筋までを先行延伸させ、さらに次期区間として、門真JCTまでつなげる計画になっています。
気になる進捗ですが、海老江と豊崎のランプ工事とともに、淀川堤防と一体化して堤防内を抜ける本線トンネルも、工事がかなり進んできました。いったん底まで掘削し、そこからコンクリートのトンネル躯体を構築していきます。大淀工区と豊崎工区では地盤改良が必要なところもあり、進み具合がそれぞれ異なります。
この先行延伸区間(海老江~豊崎)は、2025年開幕の「大阪・関西万博」の際の、新大阪駅~舞洲会場のアクセス輸送ルートとしても重要になります。現在はまともな市街地バイパスもなく、どこも信号だらけで混雑が激しい大阪市内。そのため淀川左岸線という「信号ゼロ」ルートは、万博の成功を左右するほどの決定的なファクターになってきます。
しかし万博開幕までに完成が間に合いそうにないため、「とりあえず走行路面のコンクリートまでは間に合わせる」「一部区間は並行する堤防道路を走る」などの暫定措置で、ひとまず会場までの快速ルートだけは確保するかまえになっています。
さて、気になる「門真JCT直結」工区のほうですが、まだ大きな進捗はありません。豊崎~門真JCTはそれまでの区間とまったく異なり、いきなり大深度地下へもぐって、シールドトンネルで門真へ向かいます。
現在は、大深度地下に行く手前の、鶴見緑地周辺の茨田工区で、地下掘削する準備である土留壁の設置工事がおこなわれている状況です。