首都圏から名古屋方面への「第2ルート」となる新東名高速は、着工から30年が経過しても、まだ全線開通には至っていません。未開通部は一体どうなっているのでしょうか。
■神奈川~静岡がブツ切れ状態
首都圏エリアから東海・中部エリアをむすぶ新しい高速道路「新東名高速道路」の工事が続いています。
ほとんどが開通済みですが、最後の未開通部が残っていて、途中で「ブツ切れ」状態になっています。
いったい工事はどうなっているのでしょうか。
新東名高速道路は、神奈川県の「海老名南JCT」を起点に、東名高速道路と並行して西に進み、愛知県の「豊田東JCT」に到達。そのまま伊勢湾岸自動車道へ直通していきます。
クネクネとした東名よりも直線が多くて走りやすく、2020年からは御殿場JCT~浜松いなさJCT間で「最高速度120km/h」が運用開始となり、より高速移動が可能となりました。
このように東名のバイパスとして活躍する新東名ですが、実はまだ全線開通していません。
未開通なのは、神奈川県と静岡県の県境部分である「新秦野IC~新御殿場IC」の25kmです。
県境の山岳区間を、東名のすぐ北側で抜けていくルートで、途中には「山北スマートIC」「小山スマートIC」が設置される計画です。
現在、ここが開通していないので、首都圏のクルマは、必ず東名に乗って静岡県へ出るしかありません。
交通が東名へ集中し、ラッシュ時やレジャーシーズンは大渋滞になります。特に「秦野中井IC」付近は渋滞の名所で、渋滞情報でもこの場所の名前を耳にしない日はありません。
しかし、新東名さえ全通してくれれば、伊勢原JCTから新東名でずっと走れば伊勢湾岸道まで行けるようになり、東名を全く使わなくても移動が成立します。
悪名高い東名の秦野中井IC周辺も、並行する新東名への交通分散によって、混雑が大幅に緩和することが期待されています。
※ ※ ※
さて、気になる完成予定ですが、今のところ目標を「2027年度」としています。
予定通りに開通できるかどうかを決める重要工区は、神奈川県松田町と山北町にまたがる「高松トンネル」です。
高松トンネルは、東京方面(上り線)が2851m、静岡方面(下り線)が2864mで、新秦野IC~山北SICのあいだの山を貫く長大トンネルです。
ここで想定外に悪い地質に遭遇し、湧水や掘削面の崩落などのトラブルに悩まされてきました。9月には「過去最大規模」となる「1分間に2.5トン」というものすごい湧水が発生したといいます。排水性能を強化し、掘削が継続しています。
そんななか、11月21日に、6回目の「連絡調整会議」が開かれました。その内容は「周辺環境に配慮し、安全かつ慎重に工事を進めている」とあっさりしたもの。
もはやトラブルは出尽くして、あとはそれらの対策をしつつ、粛々と進めるという段階に入ったことが伺えます。
もちろんさらなる想定外な自体が起きないとは限りませんが、現段階では「2027年度開通」を揺るがすような事態は起きていないようです。
トンネル以外では、高架や切土部などの工事も着実に進行中で、おおむね「上下線のうち片方は舗装も完了してほぼ完成形で、もう片方が追いかけて路盤などを構築中」といった状況です。
当初の「2020年度開通」から延び延びになった新東名の全通。今度こそは予定通りに、悲願の「神奈川~愛知」の丸ごと全通を迎えることになるのでしょうか。引き続き動向に注目です。