かつてダイハツは過去の「オートサロン」で、披露した屋根のない「ハイゼットトラック」を披露しました。どのようなクルマなのでしょうか。
■公式で「屋根ぶった切り」 思い切ったカスタムカー
日本最大のカスタムカーの祭典「東京オートサロン」では、パーツメーカーや自動車メーカー本体が、意匠を凝らしたコンセプトモデルやカスタムカーなどを披露します。2025年も、1月10日から12日まで開催予定です。
そんな東京オートサロンですが、2021年の開催時にはダイハツはひときわ派手な「ハイゼットジャンボ スポルツァVer.」を発表し、大いに注目を浴びました。どのようなモデルだったのでしょうか。
2021年1月に開幕する“はず”だった「東京オートサロン2021」は、コロナウイルス蔓延防止のため、実開催は見送りになりました。
そして1月15日、史上初の「バーチャルオートサロン2021」として、オンラインで開催。メーカー公式や各カスタムメーカーによる実車の姿は見られなかったものの、画面のなかでもひときわ目立つモデルも多数ありました。
それがハイゼットジャンボ スポルツァVer.(以下、ハイゼットスポルツァ)です。
ダイハツが販売している軽トラック「ハイゼット トラック」のうちキャビン(居住部)を延長した「ジャンボ」仕様車をベースに製作しました。
最大の特徴は、Aピラー根元から上が切断され、完全なオープンカー仕様となっている点です。
非常に思い切った手法ですが、当時の取材でダイハツ担当者によると、その発想元は実は果樹園内で用いられている「屋根を切った軽トラック」から得たといいます。
一部の果樹園では、背の低い木になる果物を傷つけずに効率よく収穫をするため、廃車の軽トラックを用い、敷地内だけの走行を前提として、ルーフを切断した収穫用軽トラックが使われています。
この軽トラックをもとにして、「平日は果樹園ではたらく若者が、休日はみんなで草レースを楽しむ。そんな面白いクルマができたらいいなと思い、製作しました」と話しています。
そうしたことから、単にルーフを切断しただけではなく、サーキットを楽しんで走れるように、内外装にも手が加えられました。
フロントデザインは、スポーツカーのような大開口部のロアグリルを備えたエアロを装着。アッパーグリルにも赤いアクセントラインがあしらわれ、非常にスポーティなもの。
フロントガラスもインパネを覆う程度の小ぶりなものとし、かつてのライトウェイトスポーツカーのように、かなりの爽快感を感じられるつくりとなっています。
ボディサイドは、アメリカのサーキット「ラグナセカ・レースウェイ」をもじった「ラグナ青果」というステッカーと、ダイハツ創業から60年を迎えたことを意味するカーナンバー60番を貼付。
さらに、レイズ、ヨコハマタイヤ、D-SPORTのデカールや、ミッドシップスーパーカーのような大型サイドインテーク、3本のサイド出しマフラーも備わるなど、軽トラックとは思えない派手な印象に。
さらに、ヨコハマ「アドバンA050」セミスリックタイヤやレイズ製鍛造ホイール、KTV Ultimate製の車高調などを装着し、足回りの性能アップも図っています。
インテリアも同様に、ベースのハイゼットトラックから大幅に変更されており、派手でレーシーな雰囲気に変更。
レッドのフルバケットシートとSabelt製4点式シートベルト、レッド×ブラックのMOMOステアリングを装着したほか、インパネ中央には3連メーターも装備。シート後ろにはレーシングカーのようなロールオーバーバーを備えました。
なお、ベースはハイゼットトラックのうち、5速MTと高低速切替式でデフロックを搭載する4WDモデルだったようで、果樹園での日常使いも考慮。パワートレイン系のチューニングは不明です。
ハイゼットスポルツァはさすがに市販化は難しかったようですが、ダイハツは例年軽トラックをベースにしたユニークなカスタムカーを披露しており、オンライン回であって自由な発想が当時人気の的となっていました。
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次回の東京オートサロンは2025年1月10日から3日間、幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催されます。
ダイハツによる渾身のカスタムモデルにも期待が高まるばかりです。