トヨタ車体は「クロスバン ギア コンセプト」を「ジャパン・モビリティ・ショー2023」で世界初公開しました。あれから約1年、市販化の可能性はあるのでしょうか。
■トヨタ車体が発表した「ミニバン×SUV」に注目集まる! 市販化の可能性を考える!
2023年10月から11月に開催された「ジャパン・モビリティ・ショー2023」。
そこでトヨタ車体は「クロスバン ギア コンセプト」を世界初公開しました。
これは、ミニバンとSUVの特徴をかけ合わせたモデルとして話題となりましたが、実際に市販される可能性はあるのでしょうか。
多人数乗車が可能なミニバンと、アウトドアシーンで活躍するSUVは、どちらも日本で高い人気を誇ります。
ただ、その両方の特徴をもつようなモデルは意外にもほとんどありません。
強いて言えば、三菱「デリカ D:5」がそれにあたり、2007年の発売からいまだに根強い人気を誇るモデルです。
一方、トヨタ車体の「クロスバン ギア コンセプト」は、デリカ D:5に続くこうしたニーズを満たすモデルになるかもしれません。
クロスバン ギア コンセプトについて、トヨタ車体は「乗用ミニバンの大空間とSUVのアクティブスタイルを両立した新しいカテゴリー」と説明しています。
実際、クロスバン ギア コンセプトは室内長2965mm×室内幅1550mm×室内高1340mmと、「ノア」や「ヴォクシー」と同等以上の室内空間をもち、最大6名の乗車を可能としています。
それと同時に、無塗装樹脂パーツを多用した直線的なエクステリアデザインを採用しており、トヨタ「ランドクルーザー」シリーズのような力強さを感じさせるものとなっています。
また、ダイハツ「タント」のようなBピラーレスによる大開口ドアが採用されているため、自転車や釣り竿といった趣味のアイテムの積み下ろしが容易となっていることにくわえ、2列目シートや3列目シートの乗降性も高められています。
さらに、助手席が回転したり、2列目シートをたたんでテーブルとしたりできるなど、6パターンのシートアレンジが可能である点も大きな魅力です。
クロスバン ギア コンセプトには、仕様の異なる「クロスバン コア」や「クロスバン ツール」といったバリエーションも存在しており、多様なニーズに対応しています。
■トヨタ・SUVミニバンの市販化が「あり得る」といえる理由
そんなクロスバン ギア コンセプトですが、2024年12月現在、トヨタおよびトヨタ車体からの公式なアナウンスはありません。
ただ、2024年3月にはクロスバン ギア コンセプトと見られる新型車が、特許庁に意匠登録されています。
ただしこれはあくまでもショーカーの意匠登録と見られ、実際に各メーカーはジャパン・モビリティ・ショー2023で展示したコンセプトカーの意匠登録を行っています。
しかし、さまざまな点を総合すると、市販化の可能性は無いとは言い切れません。
その根拠のひとつとなるのが、全長4695mm×全幅1820mm×全高1855mmという、クロスバン ギア コンセプトのボディサイズです。
全幅をのぞいてノアやヴォクシーとほぼ同じ数値であることから、クロスバン ギア コンセプトはノア/ヴォクシーとプラットフォームを共有していると考えられます。
要するに、クロスバン ギア コンセプトはノア/ヴォクシーの姉妹車であるということです。
それはつまり、ゼロから開発することと比べて、コストや期間を抑えることができることを意味しています。
ただ、市販化へのハードルが高いのも事実です。
ひとつは、Bピラーレスによる大開口ドアという、このクラスのミニバンでは例を見ない構造です。
この構造自体は「センチュリーSUV GRMN」で採用されているものの、コストの面などからその実現可能性には疑問が残ります。
また、ノア/ヴォクシーの納車が進んでいないという点も気になります。
クロスバン ギア コンセプトのプラットフォームがノア/ヴォクシーと同じものであった場合、クロスバン ギアを市販することによってノア/ヴォクシーの生産に影響が出ることは避けられません。
特に、ノア/ヴォクシーのハイブリッド車については納期が見えない状態が続いており、直近半年から1年では派生モデルを発表する可能性は低いのではないか、というのが正直なところです。
逆に言えば、これらの問題がある程度解消されれば、クロスバン ギア コンセプトの市販化は一気に加速するかもしれません。
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2022年1月に登場したノア/ヴォクシーは、時期的に見ても2025年内にもマイナーチェンジがおこなわれると見られています。
同じタイミングでクロスバン ギア コンセプトの市販版が登場する可能性もあり、その動向に注目です。