かつてトヨタから登場が示唆された「ミニランクル」。今後市販化される可能性はあるのでしょうか。
■もう早く売ってください! トヨタの新型「ミニランクル」はいつ登場?
2023年8月に、トヨタ自身からその存在が示唆された通称「ミニランクル」。
2024年12月時点ではまだなにも公式アナウンスはありません。
実際に登場する可能性はあるのでしょうか。
2021年12月、トヨタは「バッテリーEV戦略に関する説明会」を開催し、2030年までにトヨタとレクサスから30モデルのBEVを投入することを明らかにしました。
さらに、そのうちの16モデルが実際に展示され多くのユーザーを驚かせました。
なかでも、そのうちのひとつである「コンパクトクルーザーEV」は、その名称とルックスから「ミニランクル」として大きな注目を集めます。
そして2023年8月、「ランドクルーザー250」の世界初公開の場において、トヨタの取締役・執行役員であるサイモン・ハンフリーズ氏は「われわれは未来へ向けて、カーボンニュートラルへのさらなる提案や、より手に入れやすくできないか、なども考えている」と、ランドクルーザーの展望を述べました。
そして、その際にはラージかつ滑らかなボディを持ったSUVのシルエットと、コンパクトかつスクエアなボディをもったSUVのシルエットが映し出されました。
ラージのシルエットに関しては、その後開催された「ジャパンモビリティショー2023」にて、新たなランクルシリーズの提案としてモノコックボディ・BEVを意識した「ランドクルーザーSe」ということが明かされています。
一方でコンパクトなシルエットに関しては、未だに詳細は不明です。
しかしながら、そのシルエットはコンパクトクルーザーEVそのものであり、ハンフリーズ氏の発言が安価かつBEV版のランドクルーザーの登場を示唆していることから、多くのユーザーが「コンパクトクルーザーEV=ミニランクル」と認識するようになりました。
ただ、2024年現在ではミニランクル、あるいは、コンパクトクルーザーEVの市販版と思われるモデルは発表されていません。
さらに言えば、ランドクルーザーシリーズに新たなモデルは追加されておらず、その開発の真偽が問われる状態となっています。
■すでに海外で出てる? 見た目が「ミニランクル」な個体とは
一方、アジアを中心に販売されている「IMV0」がミニランクルと関係しているのでは、という声もあります。
これは、タイでは「ハイラックスチャンプ」、フィリピンでは「ハイラックスタマラオ」、インドネシアでは「ハイラックスランガ」と国により車名が異なる地域に沿ったモデルです。
比較的安価でありながらも、多様なニーズに合わせたさまざまなボディタイプを兼ね備えた商用車ベースのモデルです。
日本での度々、IMV0、ハイラックスチャンプが展示されており、トヨタも「将来的に日本導入を考えたい」ということを明かしています。
また各国のカスタマイズビルダーはこのIMV0をベースに荷台を室内化することで、SUVのようなコンプリートカーも販売しています。
さらに、現時点ではガソリン車とディーゼル車のみのラインナップとなっていますが、ハイブリッドやFCEV、そしてBEVといった多様な電動パワートレインを搭載することも視野に入れて開発されているといい、ハンフリーズ氏の言う「カーボンニュートラルへのさらなる提案」とも合致します。
ただ、IMV0のホイールベースはショート仕様でも2750mmもあり、ランドクルーザーシリーズのなかでは短いほうであるとはいえ、決して「ミニ」と呼べるほどのサイズ感ではありません。
また、「ハイラックス」の名称を持つモデルに対し、「ランドクルーザー」の名を冠することについても疑問が残ります。
このような点を総合すると、ミニランクル、つまりコンパクトクルーザーEVの市販版が、ハイラックスチャンプをベースとしたモデルとなる可能性は低いのかもしれません。
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結局のところ、ミニランクルは登場するのでしょうか。
ある業界関係者は次のように話します。
「具体的なタイミングについては、世界情勢をふくむさまざまな事情がからみあっているのでなんとも言えませんが、ミニランクルの名称になると見られる『ランドクルーザー FJ』の商標登録がすでにおこなわれていることなどから、意外にも早くその姿が見られるかもしれません」
ミニランクルは、発表されれば世界中で話題となることが確実なモデルであるだけに、トヨタによる公式なアナウンスが待たれます。