都心の郊外エリアを環状につなぐ道路「東京外かく環状道路(外環道)」は、関越道の大泉JCTで途切れたままで、そこから南へは工事中です。陥没事故もあって工事が一時中断していましたが、まるで音沙汰がありません。あれから工事は一体どうなっているのでしょうか。
■悲願の外環道「東名直結」どうなった
都心の郊外エリアを環状につなぐ道路「東京外かく環状道路(外環道)」は、関越道の大泉JCTで途切れたままで、そこから南へは工事中です。
陥没事故もあって工事が一時中断していましたが、まるで音沙汰がありません。あれから工事は一体どうなっているのでしょうか。
外環道は、湾岸線・東関東道の「高谷JCT」から、市川・松戸・三郷・草加・川口・浦和・戸田・和光をぐるっと経由。放射状に伸びる「京葉道路」「常磐道」「東北道」「首都高 埼玉大宮線」を相互に連絡し、最後は関越道に接続します。
計画では、大泉JCTからさらに伸び、中央道と東名に接続。そこから多摩川を下って、羽田もしくは川崎方面で湾岸線まで接続する構想になっています。
現在工事が進められているのは、関越道~中央道~東名の約16kmです。他の区間とは異なり「大深度地下」をシールドトンネルで抜けていく構造になります。上下線が独立していて、計2本のトンネルが構築されます。
着工は2012年で、上下線とも北側・南側からシールドマシンが出発。計4基体制で工事が始まりました。
そのまま貫通を迎えると思いきや、2020年10月、南側から掘削してきた現場付近の調布市の地上で、陥没が発生。工事をストップして対策を講じる必要に迫られたのです。
その後、2022年2月に、北側から掘削する「グリルド」「カラッキィー」の2基のマシンは掘削を再開しました。
12月16日時点で、南行き車線のグリルドは、大泉から「3428m」の位置まで到達。北行き車線のカラッキィーはもう少し進んで、大泉から「3701m」の位置まで到達。
どちらも上石神井4丁目の地下で、あと1km弱で青梅街道まで到達しようとしています。3か月で約3~400mほどの掘進スピードで、着実に南へ南へ向かっています。
同時に、大泉JCT、中央JCT・IC(仮称)、東名JCT(仮称)でも、大深度地下と地上とをつなぐランプトンネルが順次掘削中。終われば次のランプ、また終われば次のランプと、各地で順調に進んでいます。
いっぽう、南から掘進してきた本線シールドはどうなっているのでしょうか。
こちらは陥没現場に近い場所に位置しており、現在も掘進はストップしたままです。
掘進再開までは、まず陥没エリアを「地盤改良」し、グズグズで再陥没のおそれがある状態を解消しなければなりません。
この地盤改良が気の遠くなる作業で、直径約4m、長さ約40mのパイプを地中に打ち込んではセメント混合してカチカチに固めていくという工法です。
全部で「220本」分のセメント改良が必要ですが、2023年8月からはじまり、2024年4月末時点で「約2割」が完了したとのこと。当初は2年程度で終わる予定でしたが、ことし10月にはNEXCO東日本が「予定通りに終わらない」と認めています。
この状況だと、貫通までには、北側からの2基のシールドマシンが頑張るしかありません。そうなると掘進スピードは当初予定の半分で、どんどん開通予定は後倒しになっていきます。
とはいえ「完全ストップ」しているわけでは決してなく、少しずつ前進しているのは事実。気長に待って「忘れたころに開通めどが発表される」くらいの期待でいるのがいいかもしれません。