ダイハツ「コペン」といえば、軽規格のボディにオープンカーであることが1つのアイデンティティとなっていますが、過去にはその概念を覆した実用性を意識したモデルが登場していました。一体どのようなクルマなのでしょうか。
■コペンに実用的なモデルあった!
ダイハツの軽自動車規格のオープンカー「コペン」は、これまで20年以上にわたる歴史を築き上げてきました。
その歴史のなかではひときわ異彩を放つモデルも登場しており、かつてワゴンスタイルのコペンも披露していました。
一体どのようなクルマなのでしょうか。
コペンの歴史は、1999年の「第33回東京モーターショー」にまで遡ります。
この年、ダイハツは「KOPEN」と名付けられたコンセプトカーを出展し、そのスタイリッシュなデザインと軽自動車規格の枠を超えた魅力で注目を集めました。
そして2002年にコンセプトから市販車へと進化し、初代コペン(COPEN)が誕生。
市販モデルではコンセプト名の“K”が“C”に変更され、コペンという名前が定着しました。
初代コペンはオープンカーならではの楽しさと軽自動車ならではの取り回しの良さを兼ね備え、発売以来高い人気を誇りました。
しかし2012年8月をもって生産が終了し、惜しまれつつその歴史に一旦幕を下ろします。
その後、2013年の「第43回東京モーターショー」で、コペン復活の狼煙が上がります。
このショーでは「KOPEN future included Rmz」と「KOPEN future included Xmz」という2台のコンセプトモデルが発表され、次世代コペンへの期待感が一気に高まりました。
そして、初代コペンの発売から12年後の2014年、現行モデルでもある2代目コペンが正式に登場。
初代からの基本的なコンセプトを引き継ぎながらも、新たな個性が加わりさらに魅力的なクルマへと進化しました。
2代目コペンでは、ユーザーのライフスタイルや好みに合わせた世界観を提案。
「ローブ」「Xプレイ」「セロ」、そしてスポーツモデル「GRスポーツ」といった4つのバリエーションが展開されました。
さらに「DRESS-FORMATION」というユニークなシステムを採用し、ボディ外板やライトユニットを交換して自分好みのスタイルに仕上げられる点も話題を呼びました。
コペンという名前の由来も初代と2代目では異なり、初代では“Compact Open car”の略称、2代目では“Community of OPEN car life”の頭文字とされています。
いずれにしても、コペンが「オープンカー」であることを強く意識したクルマであることは、変わることのないアイデンティティです。
しかし、2016年の「東京オートサロン2016」でダイハツが出展したモデルは、その概念を覆すものでした。
そのクルマとは「コペン ローブ シューティングブレーク コンセプト」です。
同社は、従来のコペンが大切にしてきたオープンカーという前提をあえて覆し、固定式ルーフを採用。
ワゴンスタイルのシューティングブレークという新しい形で、実用性を追求したモデルとして披露されました。
ちなみにシューティングブレークとは、一般的にスポーツカーのデザインをベースにしつつ、後部をワゴンのように拡張し、ラゲッジスペースを確保したスタイルのことを指します。
このコペン ローブ シューティングブレーク コンセプトもその例にもれず、「クール&ジェントル」をデザインテーマに、荷室の拡大と伸びやかなキャビンデザインを両立。
流麗なスタイルを保ちながらも、固定式ルーフにより歴代モデル最大級の車内空間を獲得。
これにより積載性が大幅に向上し、従来のコペンでは難しかった長距離ドライブや日常の使い勝手においても、新たな可能性を示したのです。
なお現在でもこのシューティングブレークスタイルのコペンは市販化されていません。
しかし、コペンというブランドに対してただ伝統を守るだけではなく、新たな挑戦を続けるという動きは、これからの自動車業界において大切な要素となることでしょう。
現行モデルも登場から10年が経ち、次期型も期待されるなかで、今後コペンがどのような形で進化し、ファンに驚きと喜びを届けてくれるのか、その未来からますます目が離せません。