首都圏郊外をぐるっとむすぶ「圏央道」は、まだ多くの区間で「4車線化」が終わっていません。一体いつになったら完成するのでしょうか。工事はどこまで進んでいるのでしょうか。
■まだまだ「対面通行」が多い圏央道 完全4車線化はいつ?
首都圏郊外をぐるっと周る「圏央道」は、関越道から東北道や常磐道を相互につなぎ、いちいち都心を経由する必要なく広域バイパスする役割を果たします。
需要の高い圏央道ですが、埼玉県から茨城県、千葉県にかけて、まだまだ膨大な「2車線(片側1車線)」区間が残っています。
少しずつ4車線化が進んでいるのですが、いつ完了するのでしょうか。現在、どこで何がどうなっているのでしょうか。
まず、ざっくり言うと「2026年度に全線4車線化が完了」見込みです。順調に進めばあと2年ほどで、4車線化が達成されます。いずれも、工事はかなり大詰めで、すでに盛土や橋桁工事などがメインになっています。
そのうち、細かく細かく工区が分かれていて、最速では「2025年 春」に開通見込みです。具体的には以下のとおり。
【完成済み】久喜白岡~幸手(8.5km)
【2025年 春】幸手~五霞(4.2km)
【2026年度】五霞~境古河(6.9km)
【完成済み】境古河~坂東(9.1km)
【2026年度】坂東~常総~つくば中央(19.4km)
【2025年度】つくば中央~つくば(4.3km)
【2025年 夏】つくば~つくば牛久~牛久阿見(7.6km)
【2026年度】牛久阿見~阿見東(5.9km)
【2025年 夏】阿見東~稲敷(6.0km)
【2026年度】稲敷~稲敷東~神崎~下総~大栄(20.3km)
ただ、資機材の調達などが上手くいかないと、2026年からさらに遅れる可能性があるとしています。
■本当に2026年度に終わるの? 工期が延期になりそうな「不安材料」とは
気になるのは、「この開通見込みに影響しそうな不安材料があるのかどうか」ですが、どうでしょうか。2024年9月に連絡調整会議が開かれ、現状が報告されました。
そこでは、「盛土材の性状不良対策」「切土部の湧水発生」「周辺環境に配慮した施工計画見直し」といったトラブルが報告されていますが、いずれの工区も、少し次の工程に遅れが発生しただけで、すでに大詰めである舗装工事まで進んでいます。
いっぽう、工期にもろに影響しそうなのが、先述した「資機材の調達」という、気になる課題です。工事をするための資材や機材が手に入らないとは、一体どういった事態なのでしょうか。
同報告によると、「阿見東~稲敷」工区の月出里橋(すだちばし)では、橋脚に「SC+PHC杭」という特殊な工法による鋼管コンクリート杭が使われる設計です。
SC杭とPHC杭はいずれも、高強度コンクリートを遠心締固めして製作するものですが、PHC杭は鋼材を用いてプレストレスを与えたものに対し、SC杭は鋼管がメインでその中にコンクリートを注入するという違いがあります。
そんななか、沿線ではちょうど折悪く「大規模な民間建築工事の集中」状態であるとのことで、なかなかうまく4車線化工事への余裕が捻出できない業界事情であるとしています。
それがいつまで続くのかは分かりませんが、あまりにも余裕が無い状況が続けば、「2026年度の全体完成」から遅れる可能性があるというわけです。果たして順調にいくのでしょうか、引き続き動向に注目です。