日産「スカイライン」の現行モデル(V37型)は、2014年の発売から10年が経過し、次期型への関心が高まっています。実はすでに「次期型スカイライン」を思わせるコンセプトカーが登場していますが、いったいどのようなクルマなのでしょうか。
■67年に及ぶ長い歴史を誇る「スカイライン」ブランドはどうなるのか
2024年12月18日、「ホンダとの経営統合」に関する報道が伝えられるなど、厳しい状況に陥る現在の日産。
そんな同社を代表する名車「スカイライン」の次期型は、いったいいつになったら発表されるのでしょうか。
日産の業績低迷の要因のひとつは「売るクルマがない」ではないかという声が聞こえてきます。
確かに日本でのラインナップは、かつての最大のライバル、トヨタに比べると数が少ない状況。コンパクトカー「ノート」、ミニバン「セレナ」は好調なセールスを記録するも、残念ながら他はパッとしません。
日産のグローバル販売のうち、国内販売は三菱との合弁会社で生産される軽自動車を含めても約14%(2024年4月~9月累計販売台数)と少ない比率で、これが日本市場で新型車の開発に力を入れにくい状況になっているという推測も出ています。
そんな日産を象徴するクルマといえば、“スカイライン”を想起する人は多いでしょう。
スカイラインの歴史は1957年、後にプリンス自動車工業となる富士精密工業が開発・製造・販売したことから始まります。
現行型は、2014年11月にデビューしたV37型で13代目となります。2024年現在、67年に及ぶ長い歴史を誇ります。
なお2001年に発売された11代目スカイライン(V35型)から、海外向け高級ブランド「インフィニティ」用に「G35」の車名で販売するグローバルモデルに発展。続く12代目も同じ車名で販売しました。
現行型の13代目スカイラインは、インフィニティ「Q50」として現在も北米で販売されています。
国内では2019年7月にビックマイナーチェンジを実施し、国産車初となる高速道路同一経路上の「手放し運転」を実現した高度運転支援機能「プロパイロット2.0」を搭載して注目を集めましたが、この機能を搭載するモデルはその後2022年に販売を終了しました。
2023年8月には「スカイライン NISMO」シリーズの2モデルを発表。
そのうち「スカイライン NISMO Limited」は、S54A-1型「スカイラインGT」誕生60周年を記念して、「GT-R」と同じく匠による手組みエンジンを搭載した生産台数100台の限定車として、ファンから熱い注目を集めています。
■次期「“V38”スカイライン」のヒントは「北米」にあり!?
2024年2月に開催された「カナダ国際オートショー」で、日産が北米で展開する高級ブランド「インフィニティ」から、同ブランド初となるEV(電気自動車)のコンセプトカー「Vision Qe(ヴィジョンQe)」が披露されました。
ヴィジョンQeは、米国キャントン工場で2025年から生産される新型EVのデザインを示唆する4ドアクーペのコンセプトカーでした。
しかもその新型車はQ50の実質的な後継ともいわれており、日本のスカイラインファンにとっても注目すべきモデルということがわかります。
ヴィジョンQeの姿は、スピード感を感じるダイナミックで有機的なフォルムに、インフィニティを象徴する「ダブルアーチフロントグリル」のアウトライン照明、幾何学模様のホイールが印象的です。
ボディカラーは、ゴールドの特殊フレークを混合した深みのあるブラックカラー塗装で、有機的なボディラインと素晴らしい調和を見せています。
これらは、日産が電動化時代においての進化したデザインフォーム「Artistry in Motion」を表現したと伝えています。
非常に斬新で目を引くスタイルをしたヴィジョンQeが、そのまま市販化されるとは考えにくいものの、次期スカイラインのヒントとなるのは間違いないところです。
気になるのは、次期スカイライン「V38型」(仮称)がいきなり「EV専用車に大変身する」のかどうかという点でしょう。
2025年の時点でさすがにそれは無理がある話で、準ガソリンエンジン車こそないものの、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車の設定もあると考えたほうが自然と思われます。
このあたり、今後の新たな情報に期待したいところです。
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2021年、日産が次期スカイラインの開発を中止したとの一部新聞報道がされましたが、日産の副社長、星野朝子氏が「日産は決してスカイラインをあきらめない」と発言し、その報道を否定しています。
新型スカイラインの発売は、そう遠くない未来にあると期待していいでしょう。