税関の公式Xは、トヨタ「ランドクルーザー」の盗難車を輸出しようとした犯則嫌疑者を発見し、告発したと発表しました。
■「告発したワン!」 鮮やかなファインプレーに称賛
税関の公式X「カスタム君」は2024年12月18日、盗難車を輸出しようとした犯則嫌疑者を発見し、告発したと発表しました。
盗難車はトヨタ「ランドクルーザー」とレクサス「LX」だったといいます。
今回の事件は、2024年4月に横浜の税関で発生しました。
職員がコンテナを検査したところ、輸出申告されたものとは違う、盗難車のランドクルーザー(時価800万円)と、レクサス LX570(同1100万円)が詰められており、輸出されるギリギリのところで阻止しました。
この2台の盗難車の行先はアラブ首長国連邦だったようです。
その後も調査が続けられ、事件発生から8ヶ月を経た12月13日、ついに関税法違反で犯則嫌疑者1名を千葉地方検察庁に告発したといいます。これについて、公式Xでは以下のように投稿されました。
「【密輸事件】#横浜税関は、#盗難車であるランドクルーザー(時価800万円)及びレクサス(1,100万円)計2台をアラブ首長国連邦向けに輸出しようとした犯則嫌疑者を、千葉地方検察庁に告発したワン!」(原文ママ)
公式Xには当該コンテナの写真が掲載されており、ぱっと見はシートやバンパー、エンジンやナックルなどの中古パーツを積んだコンテナのように見えます。
しかしその中古パーツの山の奥に盗難車を隠していたのです。
犯則嫌疑者は「このコンテナの中身はクルマの中古パーツです」と言い張って、輸出しようとしたとみられます。
盗難車は、クルマが入っているとバレないようにするためか車体ギリギリの小型のコンテナに詰め込んでおり、盗難車に傷つかないようにバンパーやフェンダーなどが段ボールで簡易的に養生されています。
職員による、この水際での“ファインプレー”に対し、「ナイス!」「お手柄だワン」「よく見つけた」などのコメントが集まっています。
近年、自動車盗難の件数は減少傾向にあり、2023年は5762件(警察庁発表)とピークの1割以下に抑えられているものの、盗難は特定の車種で際立って多く発生しています。
特に、ランドクルーザーやLXのほか、トヨタ「アルファード」といった中東地域で人気の高級モデルのほか、「ハイエース」や「プリウス」も狙われています。
さらに、1980年代から2000年代初頭の国産スポーツカーが世界的に人気であることから、トヨタ「スープラ」や日産「スカイラインGT-R」「シルビア」なども盗難されています。
SNSなどでも盗難車情報が頻繁に共有されていますが、一度盗難されると、ナンバーを付け替えられたりして追跡が困難なほか、すぐに輸出される手続きが取られるため、コンテナに詰められると、ほとんど取り返すことはできません。
そのため、実質的に税関が「最後の砦」になるのです。
税関でもこうしたことから取り締まりを強化しています。
中古車では「輸出抹消登録証明書」などの書類の提出や車台番号の確認を行うほか、「大型X線検査装置」でコンテナを開けることなく不正輸出を発見できるようにしています。
また、盗難車のみならず、不正薬物や拳銃、特許権や意匠権などを侵害するいわゆる「偽ブランド」の“バッタモン”といった社会悪物品の水際取締りも強めているといいます。
一般からの密輸情報の提供も呼びかけており、公式の情報提供サイトや密輸ダイヤル「0120-461-961(シロイ・クロイ)」でも受け付けています。