運転中にウインカーを出すのか、出さないのか。左右どちらに出せばいいのか判断に迷う道があります。悩ましい問題をすっきり解決します。
■本線の「道なりカーブ」と接する直線道路はどういう扱い!?
クルマを運転中、合流にさしかかったときや、直進も可能な「道なりカーブ」などで、「えっ…! ウインカーは出す? 出さない!?」「右・左どっち?」と戸惑った経験を持っている人は多いはずです。
そんな「判断に迷う道」の「正解」について紹介します。
ウインカーを正しく出さなかった場合、どのような交通違反となるのでしょうか。
これは「合図不履行違反」に該当し、違反点数は1点、反則金は6000円(普通車)が科せられる可能性があります。
誤った判断が違反とならないよう、いくつかの事例を挙げていきましょう。
●カーブした幹線道路に接続する道路がある「道なりカーブ」
国道をはじめとする幹線道路がカーブするところで、直進方向には生活道路や幅員の狭い道路が接続しているような「道なりカーブ」があります。
幹線道路のカーブに沿って道なりに進む場合、ウインカーを出す必要はあるのでしょうか。
まず、ウインカーに関する法律をおさらいしましょう。
道路交通法第53条では、「車両(中略)の運転者は、左折し、右折し、転回し、徐行し、停止し、後退し、又は同一方向に進行しながら進路を変えるときは、手、方向指示器又は灯火により合図をし、かつ、これらの行為が終わるまで当該合図を継続しなければならない。(原文ママ)」としています。
方向指示器、すなわちウインカーは、「左折・右折・転回・進路変更」の4つの場合に使用しなければならないというのが決まりです。
例えば、幹線道路が交差点内で右にカーブする線形で、「カーブに沿って(道なりに)走行する」とき、右側に接続する道路がなければ右折に該当しないため、ウインカーを出す必要はありません。
他方、道なりカーブを進まずに接続道路へ「直進」する場合は「左」へウインカーを出す必要があります。
北海道余市警察署が2022年12月8日に発行した「余市交通NEWS」では、余市警察署管内には、前述したような変則交差点が多いとし、次のように説明します。
「国道や道道が主となる道路で、そこに町道が接続している時、主となる道路に沿ってカーブを走行する際は、たとえ右左折に見えてもウインカーは必要ありません。
逆に直進するように見えても、主となる道路から町道に入る際は、ウインカーが必要になります」
これらのことから、原則はウインカー不要ということになります。
カーブで曲がっていく方向に接続する道路が「なければ出さない」「あれば出す」が基本と考えましょう。
■側道から本線へ合流するシーンは「迷いがち」
続いて次の事例を紹介します。
自車が側道から本線へ斜めに合流しようとする場合も、ウインカーをどちらに出して良いか迷うシーンです。
●合流する本線へ側道から「斜め合流」する場合
例えば、高速道路の本線に合流する場合は「右ウインカー」が正解です。これを間違う人はほとんどいないでしょう。
問題は、本線へ右斜めに接続する側道が、接続部で「一時停止」となっている場合です。
右側の本線に合流するような形ですが、これは「丁字交差点」と同じとなり、ウインカーは「左」が正しいです。
ハンドルは右に曲げつつ、ウインカーは逆に左方向に出す格好になります。
このようにウインカーを右・左どちらに出すのかは、「合流」か「交差点」が分岐点となります。
側道から本線へ合流する接続部分に、本線に沿って破線がある場合は「合流」。
ウインカーはハンドル操作と同じ方向に出すことになります。
逆に、本線に沿う破線がない場合(多くは一時停止となっています)、ハンドル操作に反して「左」となります。
●高速の本線合流手前に「一時停止」がある場合
最後に、やや特殊な例を紹介します。
例えば、都市高速のパーキングエリアから本線へ合流する際に見られるものです。
狭く短い合流レーンの手前に「一時停止」があり、その先は他の高速道路の合流と同様に、本線に沿う破線を超えていきます。
こうしたケースの正解は「右ウインカー」です。
おそらく本線流入時の速度抑制などを狙って、一時停止を設置したものと思われます。
都市部に多い狭い区間のため加速車線が短いことが多く、さらに本線が急なカーブを伴っているケースも見られるので、合流には十分に注意しましょう。
※ ※ ※
ウインカーは、出すタイミングにも十分に注意しましょう。
交差点を曲がりはじめてからようやくウインカーを出し始めたりと、雑な点灯をするケースも散見されますが、これも重大なルール違反で、大きな事故を誘発しかねません。
右左折では交差点の30m手前から、合流は3秒前と法規で定められています。
ウインカーは、他のクルマや歩行者などに知らせるための表示であるという「原則」をけっして忘れないよう、改めて心がけましょう。