ダイハツには、大型の本格四輪駆動車並みの走破性能を持つモデルが存在しています。一体どのようなクルマなのでしょうか。
■実はスゴい「デフロック付き4WD」だった
ぬかるみや起伏の激しい道を走行する際は、本格的な4WDを備えるクルマだと非常に重宝します。
一般的にはトヨタ「ランドクルーザー」やスズキ「ジムニー」が本格4WDの代表例ですが、実はダイハツの軽自動車にも、そうした本格的な4WDを採用したモデルがラインナップされています。それがダイハツ「ハイゼットトラック」です。
ハイゼットシリーズは1960年の登場以来、軽商用車の定番モデルとして長らくラインナップされ、累計750万台(2021年12月)を販売したベストセラーモデルです。
このうちハイゼットトラックは、スズキ「キャリイ」と並ぶ軽トラックの2大車種で、農業や配送などの業務ニーズのほか、近年は一般ユーザーからも趣味の道具として支持されています。
現行型は10代目で2014年に登場。積載性や耐久性、防錆性などの基本性能を向上させたほか、新開発プラットフォームによる乗降性の向上、安全性のアップも図っています。
2018年には衝突回避支援システム「スマートアシスト」を採用し、さらなる安全性能の向上を図っています。
ラインナップは通常のハイゼットトラックに加え、居住部を延長し、シートリクライニング機能などを追加した「ジャンボ」仕様車も用意しています。
パワートレインは660ccの自然吸気エンジンに5速MTまたは軽トラック初のCVTを組み合わせ、駆動方式はFRに加え、2タイプの4WDを用意。
このうち、「エクストラ」や「スタンダード “農用スペシャル”」の5速MT車には、「Hi-Loモード切替機構」付きのパートタイム機械式4WDを採用。これにより起伏の激しい悪路でも十分なけん引力を確保できます。
さらに「デフロック」も標準装備しています。デフロックは左右輪を直結させる機構で、田んぼなどのぬかるみや凹凸のある路面で片輪が空転してしまったときでも、もう片方のタイヤに駆動力を伝達でき、脱出できるようになるものです。
これは本格四輪駆動車のジムニーですら存在しない装備であり、トヨタ「ランドクルーザー250」などの大型四輪駆動車でもオプション設定となっていることもあります。
そのため、場面によってはジムニーやこれらのモデルを上回る性能を発揮できることもありそうです。
そんなハイゼットトラックの高性能4WDモデルですが、価格(消費税込)は最も安価な「スタンダード“農用スペシャル”(スマートアシスト非装着車)」は本体価格106万1500円。
広い居住部を持つジャンボ エクストラでも139万7000円と、本格的な機構を持ちながらもリーズナブルな価格を実現。
悪路性能を必要だが乗車定員は不要で、手軽に走行できれば問題ないと思うのであれば、良い選択肢になりそうです。
しかし、軽トラックのデフロックは本来田畑に入るためのものであり、例えば傾斜の激しい不整地では4WD機構以外にも、最低地上高やいわゆる「3アングル」と呼ばれる対地角が重要になってきます。
岩場などの場所では走行できないことがあるため、注意が必要です。
とはいえ、田畑などの未舗装路での作業時はデフロックとローギア4WDが強い味方になってくれるのは間違いないでしょう。