体質によるものとあきらめがちな「クルマ酔い」。しかしクルマ酔いは、事前の対策や運転操作、そして楽しいドライブを経験することで、予防したり克服したりすることが可能です。
■クルマ酔いは3つの段階を経て症状があらわれる!?
楽しいドライブに水を差しかねない「クルマ酔い」。しかし運転操作や事前の対策で、予防や克服をすることができます。
どのような方法があるのでしょうか。
年末年始を控え、クルマでの帰省や旅行の計画を立てている人は少なくないでしょう。
そんな計画を台無しにされかねないのがクルマ酔い。
同乗者にクルマ酔いをしやすい人がいると、なにかと気がかりなものです。
また「クルマ酔いは体質によるもの」ともいわれ、あきらめている人も多いといいます。
しかしそんなクルマ酔いも、実は運転操作や事前の対策で、予防や克服をすることができます。
製薬会社の沢井製薬によると、クルマ酔いの症状が現れるまでには、3つの段階があると公式ウェブサイトで紹介しています。
最初の段階は、目からの情報と三半規管がある内耳からの情報にずれが生じることから起こります。
クルマに乗っていると、耳の奥にある平衡感覚をつかさどる三半規管が揺さぶられますが、目や身体は動いていないため、情報にずれが生じてしまうのです。
そしてこの情報のずれを脳が「不快」と判断するのが第2段階。
そして第3段階として、脳が「不快」と判断したことによって自律神経が興奮し、クルマ酔いの症状が起こってしまうといいます。
クルマ酔いしやすいという人は、情報のずれを不快と感じやすく、また、自律神経が不安定になりがちな傾向があるようです。
また子どもは自律神経が未発達なために酔いやすい傾向にあり、逆に乳児は小脳が発達しきれていないことでずれを感知しにくく、クルマ酔いをしにくいといいます。
また自律神経は血圧の変動とも関連があるため、血圧が下がりやすい女性は、男性よりもクルマ酔いしやすいと沢井製薬は説明しています。
そのためクルマ酔いを予防したり克服したりするには、情報のズレを生じないようにすることや、それを不快と判断しないようにすること、そして自律神経のバランスが崩れないようにすることが必要となります。
■クルマ酔い「克服方法」と「酔わせない運転方法」とは
それでは、クルマ酔いしにくくするには、どうしたら良いのでしょうか。
まずは、クルマに乗っているときの状況から考えましょう。
たとえばドライブ中に手持ち無沙汰になると、ついついゲームをしたり、スマホを操作したりしがちです。
しかし下を向いている姿勢は、三半規管に旋回や加速が伝わりやすくなってしまいます。
スマホの操作や読書はできる限り避け、加速度に影響されない遠くの景色を眺めることで、情報のズレを起こさせない、もしくは最小限にすることが可能です。
また、ドライバーの運転操作も重要です。
旋回や加速をできるかぎり抑えることでも、クルマ酔いを予防できます。
ブレーキペダルもアクセルペダルもハンドルも、じわーっと操作する「じんわり操作」ができると、同乗者は次の動きを予測することができます。
こうしたていねいな運転をすることで、乗員がクルマ酔いを引き起こす原因となる「情報のズレ」を抑えることができるのです。
ドライバーがクルマ酔いを引き起こさないよう、意識的におこなう運転方法があります。
運転中は自車のすぐ前だけを見ているのではなく、前走車がいる場合は、2~3台先も意識して見るようにしましょう。
ドライバー自身がこれからの操作を予測することで、じんわり操作がしやすくなります。
また沢井製薬によると、ドライバーと離れた席ほどずれが生じやすいため、酔いやすい人はドライバー席から近い席(乗用車なら前席)に座るといいそうです。
自律神経が不安定にならないようにするには、前日によく睡眠をとって体調を整えることのほか、自律神経が興奮しやすい厚着や締め付ける服装は避けると良いようです。
また旅先の食事はついつい食べ過ぎてしまいがちですが、満腹にならないよう適度に摂るのが良いでしょう。
そしてクルマ酔いは「慣れる」ことで克服ができるといいます。
言い換えれば、情報のズレを「不快」と感じないようにする、ということです。
子どものころにクルマ酔いをしやすかった人のなかにも、遠足のバスの中などで友達と楽しく過ごすうち、クルマ酔いをしなくなった、という人は少なくないのではないでしょうか。
クルマ酔いという失敗からくる不安を忘れてしまうほど、車内で楽しく過ごすうちに、成功体験を積むことができたのだと考えられます。
逆にクルマ酔いをしたときの嫌な記憶が残ってしまっていると、過度な不安から、なかなか克服ができないようです。
クルマの匂いで酔ってしまうというのも、匂いが過去の経験を思い出させることで、自律神経にストレスがかかることが要因のようです。
※ ※ ※
酔いそうだなと感じたら、早めにシートを倒して楽な姿勢をとりましょう。
横になって頭が固定されると情報がずれにくくなるため、酔いにくくなるようです。
また不安を取り除くためには、酔い止めの薬を上手に使うのも必要。
酔い止め薬を上手に使いつつ体調を整える一方、ドライバーも運転操作に気を付けながら、楽しくドライブをしてクルマ酔いを克服しましょう。