クルマの税金はこれからどうなるのでしょうか。そんな中、世間が注目していた「令和7年度税制改正大綱」が12月20日に発表されました。これは、与党である自由民主党と公明党による税制調査会がまとめたものです。
■結局どうなるクルマの税金? ガソリン減税は? 性能環境割はなくなる?
2024年12月11日に自由民主党、公明党、そして国民民主党の幹事長会談で「ガソリン減税(ガソリンの暫定税率の廃止)」について合意したことが発表されました。
しかし結局、クルマの税金はこれからどうなるのでしょうか。
そんな中、世間が注目していた「令和7年度税制改正大綱」が12月20日に発表されました。
これは、与党である自由民主党と公明党による税制調査会がまとめたものです。
国税については財務省、そして地方税について総務省とも交渉した形だと言えます。
まず自動車ユーザーの生活に関連する自動車関連諸税にはどのようなものがあるのでしょうか。
「車体課税」として、クルマを取得(購入)する際に、国税である「消費税」や、地方税として「自動車税の性能環境割」(旧:自動車取得税)。
さらにはクルマを所有したあと、地方税の毎年「自動車税」(軽自動車は『軽自動車税』)がかかり、車検毎に国税として「自動車重量税」が発生します。
そして日常的にかかるのが「燃料課税」は、走行するためにガソリンや軽油(ディーゼル燃料)の燃料価格に各種税金がかかっています。
国税として「揮発油税」「地方揮発油税」「石油ガス税」があり、「軽油引取税」がかかっています。
なおガソリンは、1リットルあたり揮発油税(48.6円)と地方揮発油税(5.2円)の合計で53.8円。
軽油の場合は、1リットルあたり軽油引取税の32.1円がかかります。
このガソリン53.8円のうち「旧暫定税率」と呼ばれるものが25.1円。軽油では、32.1円のうち17.1円が該当します。
話は「令和7年度税制改正大綱」に戻ります。
その中で、クルマの税金の全体像について、次のような記載があります。
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「基幹産業」としてわが国経済を牽引する自動車産業は、技術面や国際環境など、大きな変化を迎えている。
こうした中、自動車関係諸税の見直しについて、わが国の技術的優位性を踏まえた「マルチパルウェイ」等の自動車戦略や国・地方の安定的な財源確保、カーボンニュートラル目標等を踏まえ、今後、車体課税・燃料課税を含む総合的な観点から検討し、産業の成長と財政健全化の好循環の形成につながていく。
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こう言われても、なんだか抽象的でよく理解できないという人が少なくないでしょう。
では、具体的な表記としてはどうなっているのでしょうか。
独立した項目として「自動車関係諸税の総合的な見直し」という項目が設けられました。
その中で、「車体課税の見直し」があります。
一部を抜粋すると「所得時における負担軽減等課税のあり方を見直すとともに、自動車の重量及び環境性能に応じた保有時の公平・中立・簡素な税負担のあり方等について、関係者の意見を聴取しつつ検討し、令和8年度税制改正において結論を得る」としています。
この部分を、より詳しく見ていきましょう。
まず、車体課税とは、取得時の自動車税(または軽自動車税)の性能環境割と消費税。
また、所有時の自動車税(または軽自動車税)と自動車重量税を指します。
つまり、所得時の税負担については事実上、性能環境割を廃止して、消費税に1本化する可能性が高いと言えます。
また、保有時には、今後本格的な普及が見込まれるEVなど次世代車の環境性能も考慮した新しい税への転換を示唆したものになりました。
これらは、自動車メーカーなどでつくる業界団体の日本自動車工業会(自工会)の10月に公表した「令和7年度税制改正・予算に関する要望」をかなり大きく取り入れた形です。
自工会は、片山正則会長コメントを次のように公表しています。
「今回の税制改正大綱で、当会が車体課税に関して強く主張してきた、『国内市場活性化の観点から取得時の負担軽減』や『自動車の重量及び環境性能に応じた保有課税の税負担のあり方』について、見直すことが明確に示されたことは大きな前進であると受け止めております」
また、車体課税の見直し時期についても、自工会が想定していた通りという解釈です。
税制調査会は昨年の「令和6年度税制改正大綱」で示した「次のエコカー減税の期限到達時までに検討を進める」としていました。
具体的には、令和7年度末(2026年3月末)を指します。
よって今後は、来年2025年12月に取り纏める予定の、「令和8年度税制改正大綱」に向け、この1年間を通して、車体課税の見直しの細かい詰めを行うことになります。
ユーザーのとっては、令和8年度(2026年4月以降)に、新しい車体課税に対する納税が始まる想定です。
では、燃料課税についてはどうなるのでしょうか。
自工会としては、10月に報道陣向けにオンラインで行った説明会の中で、車体課税に対する要望は出すが「燃料課税については(要望書の中に)盛り込まない」と発言しています。
燃料課税とは、国税としての「揮発油税」「地方揮発油税」「石油ガス税」と、地方税の「軽油取引税」を指します。
その上で、与党である自由民主党、公明党、そして国民民主党による三党協議の行方を、自工会として見守るという姿勢を取ってきました。
そして12月11日に、三党の合意文書を公開し、その中で「103万円の壁の見直しについては、178万円を目指して、来年から引き上げる」ことに加えて、「いわゆるガソリンの暫定税率を廃止する」と明記しました。
前述のとおり、ガソリンの暫定税率は、ガソリン1Lで53.8円のうち25.1円。軽油取引税では1Lで32.1円のうち17.1円が該当します。
この暫定税率が廃止になれば、ガソリンも軽油もその分安くなる計算です。
ただし、「令和7?年度税制改正大綱」の中では、「いわゆるガソリンの暫定税率廃止」について、その時期は明確に記載されていませんでした。
今後も三党協議の中で議論を進めるとしていますが、令和8年度税制大綱に向けて車体課税の見直しと並行した議論になるのかもしれません。
ようするに、現時点では、いわゆるガソリン減税も車体課税の見直しも、ユーザーにとっては令和8年度(2026年4月以降)に直接的な影響が出てくることが考えます。