広い駐車場のなか、周りが空いているのにわざわざ隣に停める「トナラー」の行動には、一体どのような心理が隠されているのでしょうか。
■なぜ隣に止めたくなる? その心理とは?
広々とした駐車場で、誰もいない場所にクルマを停めたはずなのに、戻ってみると隣に他のクルマが停まっているといった経験をしたことはありませんか。
周囲にたくさんの空きスペースがあるにもかかわらず、あえて隣にクルマを停める人々は、通称「トナラー」と呼ばれています。
こうしたトナラーの行動にはどのような心理が隠されているのでしょうか。
クルマを大切にする人にとって、駐車場で他のクルマから離れた場所に停めることは一般的です。
これは、隣のクルマのドアが自分のクルマにぶつかる「ドアパンチ」を防ぐためや、他のクルマに遮られずに自分のクルマを見つけやすくするためです。
しかし、こうした配慮にもかかわらず、戻ってみると隣にクルマが停まっていることがあります。
このような行動には、人間の心理が大きく関係していると考えられています。
心理学の観点から、「同調性」や「群れ行動」といった人間の特性がトナラー行動に影響を与えている可能性があります。
同調性とは、他者の行動に影響を受け、自分もそれに倣おうとする傾向のことです。
例えば、広い駐車場で誰かが離れた場所にクルマを停めているのを見ると、自分も無意識にそこにクルマを停めてしまうことがあります。
また、群れ行動の習性もトナラー行動に影響していると考えられます。
人間は本能的に集団で行動することで安心感を得る性質を持っています。
駐車場であえて他のクルマの近くに停めることで、無意識に連帯感や安全感を求めているのかもしれません。
これは、満員電車やエレベーターの中で感じる心理と似ています。
人はパーソナルスペースが侵害されるとストレスを感じますが、他者を物理的な存在として受け入れることで、不快感を軽減するメカニズムが働く場合もあります。
トナラー行動は駐車場だけに限りません。
例えば、高速道路のサービスエリアのトイレでも、たくさん空いているのに隣の個室を使う人がいます。
また、映画館やレストランでも、あえて近くの席を選ぶ人がいることがあります。
これらの行動はすべて、同調性や群れ行動による無意識の選択といえるでしょう。
トナラー行動への対策として、自分のクルマの片側を壁際に寄せて停めることが挙げられます。
これにより、片側からのトナラー行為を防ぐことができます。
また、停めにくい場所を選ぶことも効果的です。
他の人が停めづらいと感じる場所にクルマを停めることで、トナラー行為を抑制できる可能性があります。
さらに、1台しか停められない場所を選ぶという方法もあります。
このような工夫をすることで、トナラー行為の発生をある程度防ぐことができますが、完全に避けることは難しいのが現実です。
最終的には、トナラー行為に対して寛容な心を持つことが重要です。
「なぜ隣に停めるんだ」とイライラするのではなく、「あの人は隣に停めたい気分だったのだろう」と考えることで、ストレスを軽減できます。
クルマを大切にする気持ちはもちろん大事ですが、予期せぬ出来事を受け入れる柔軟性も同じくらい大切です。