2024年6月にフルモデルチェンジして人気を博しているホンダのコンパクトミニバン、新型「フリード」。最安グレードの装備はどうなっているのでしょうか。
■新型は「エアー」と「クロスター」の2本立てに
ホンダのコンパクトミニバン「フリード」が2024年6月にフルモデルチェンジし、3代目となりました。
販売価格(消費税込み、以下同)は250.8万円からですが、この最安グレードは狙い目なのでしょうか。
初代フリードは、2008年5月に「モビリオ」の後継車としてデビュー。2代目は2016年から約8年に渡って販売されました。
初代から3代目まで一貫して、全長4.2m~4.3m級の5ナンバーサイズを基本(3代目の「クロスター」は3ナンバー)とし、取り回ししやすいボディサイズに3列シート・6人~7人乗りを標準モデルとしています。
最新の3代目フリードは、標準モデル「AIR(エアー)」に加え、クロスオーバーSUV風のルックスをもった「CROSSTAR(クロスター)」の2モデル体制となりました。
先代に設定されていた2列シート・5人乗りの「フリード+(プラス)」は廃止されましたが、クロスターに2列シート・5人乗りを設定し、その需要を満たしています。
ボディサイズは、標準モデルで全長4310mm×全幅1695mm(クロスターのみ全幅1720mm)×全高1755-1780mm。
パワートレインは、1.5リッター直列4気筒ガソリンエンジン車と、1.5リッターシリーズ・パラレル式ハイブリッド「e:HEV(イーエイチイーブイ)」の2種類。駆動方式は2WD(FF/前輪駆動)とドライブシャフトを介して後輪を駆動する4WDを設定しています。
グレード構成は、ガソリン車、e:HEV共通で、エアーとその上級グレード「エアー EX」、クロスターの3タイプとなっています。
車両価格は、エアーが250万8000円~327万8000円、クロスターが281万2700円~343万7500円です。
すべてのグレードにおいて、e:HEVはガソリン車の34万9800円高、4WDは2WDの23万1000円高、乗車定員の違いも同じ4万4000円の差。標準モデルのエアーとエアーEXのグレード間の価格差は18万9000円となっています。
前述の通り基本的なグレード構成はエアーとクロスターの2軸で、それぞれにエンジンタイプ、駆動方式などを選ぶものとなっています。
なおエアーEXはエアーの上級グレードという位置付けですが、実はクロスターの基本装備はエアーEXと同等の上級仕様となっている点に注意が必要です。
■最安「エアー」と上級「エアーEX」の違いとは
エアーとエアーEX・クロスターの主な装備差は、先進安全技術では全車に最新の運転支援機能「ホンダセンシング」を採用していますが、「ブラインドスポットインフォメーション」などの一部機能が備わらないのと、シート地が上質になるかどうかの差があります。
また後席用のクーラー、運転席&助手席シートバックのUSB充電口、本革巻のステアリングホイール&セレクトレバー、アルミホイールといった装備がエアーには備わりません。
これらの装備差が18万9000円。その装備の違いに必要性を感じなければ、最安の“素”エアーを選んでも問題なさそうです。
ガソリン車とe:HEVは、価格差が約35万円と大きく、コスト最優先と考えるならガソリン車が選択肢となるでしょう。
ホンダが新型フリード発売1か月後に発表した受注状況では、累計3万8000台という絶好調なスタートを切り、そのうちe:HEVの販売構成比は83%を占めているといいます。
グレード別販売構成費では、e:HEV エアーEXが最も多い55%と過半数超え。素のエアーはガソリン車が2%、e:HEVが3%と最も少ないマイノリティでした。
どのメーカーでも初期受注では上級グレードに人気が集中する傾向にあるため、結論付けるのはまだ早いかもしれません。
なお、国内コンパクトミニバン市場で唯一のライバルとなるトヨタ「シエンタ」を見てみると、203万5200円(7人乗り・ガソリン車)からで、フリードと比べグッと割安に映ります。
ただしシエンタは3つのグレードが設定されており、最安モデルはベーシックな「X」です。
フリードは、エアーでも後席両側パワースライドドアが標準装備ですが、シエンタのXは助手席側のみがパワースライドドアとなるなど装備が簡素なほか、ボディカラーの選択肢も限定的となり、やや選びにくさがあります。
40万円以上の価格差は納得できるところで、装備面で考えるとシエンタの中間グレード「G」(237万7500円:ガソリン・FF)や上級グレード「Z」(264万6600円:ガソリン・FF)と比較すべき対象となります。
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こうした机上の比較だけでなく、購入する際には必ず販売店でそれぞれライバル2モデルの実車を確認することをオススメします。
コンパクトなボディのなかに機能性を詰め込んだ両モデルですが、ホンダとトヨタの設計思想の違いが明確に浮かび上がるのが面白いところ。
実際に所有した後のことを思い浮かべながら、シートアレンジや荷室の使い勝手などをしっかり試してみる必要があります。
なかでも3列目シートを多用するというユーザーには、シエンタに比べ全体的に室内空間に余裕のある新型フリードが向いているでしょう。