神奈川県と千葉県をつなぎ、東京湾をまたぐ「第二のアクアライン」とも言うべき道路計画が、水面下で動き始めています。「東京湾口道路」という仮名称がついているこの計画に、SNS上でも様々な反響があがっています。
■静岡方面から最短距離で房総半島へ
東京湾アクアラインの「2本目」ともいうべき、新たな道路計画が水面下で動いています。
一体どのようなルートで、どう便利になるのでしょうか。
それは「東京湾口道路」と呼ばれる構想で、神奈川県の横須賀市と千葉県の富津市をつなぐものです。
ここでは三浦半島と富津岬が互いに突き出していて、東京湾の中で最も狭い部分「浦賀水道」となっています。距離は10kmにも満たず、東京湾アクアラインに比べてかなり短い海峡部です。
この海峡には「国道16号」の路線が引かれていて、将来的につながって環状ルートを形成することを見越したものになっています。
いわゆる「海上国道」ですが、代替する自動車航路は無く、大きく南側に離れた久里浜~富津・金谷の「東京湾フェリー」を使うしかありません。
そもそも現在、房総半島へ向かうには、延々と船橋・千葉を経由するか、東京湾アクアラインで川崎から木更津へ直行するしかありません。
木更津側はともかく、川崎側はかなり北に位置していて、アクアラインまで行くのが大変です。東名・新東名方面から来る場合は、地獄のような「横浜町田IC」「横浜青葉JCT」「保土ヶ谷バイパス」「首都高湾岸線」を通過しなければならず、横浜北西線が開通したとはいえ、まだまだ房総半島は遠い存在です。
そこまでたどり着いても肝心のアクアラインに交通が集中し、もはや大渋滞が当たり前という路線に。千葉県では時間帯別の料金制度を導入するなど、対策に苦慮しているのが現状です。
そこで、南側に新ルートが実現することで、静岡~房総半島が最短距離の「まっすぐ東西軸」でつながることとなります。
横須賀へは横浜横須賀道路でアクセスすることになりますが、静岡方面とのまともなつながりがありません。
しかし現在、新湘南バイパスを藤沢から延伸する形で、圏央道がまっすぐ東進して、釜利谷JCTへ直結することになっています。工事は最盛期を迎えています。
そうなると、新東名~圏央道~釜利谷JCT~横須賀~富津という短絡ルートが誕生し、海老名~富津がわずか60kmの道のりになります。
気になる進捗ですが、昔から構想が現れては自然消滅し、長らく「夢物語」のままでした。
状況が変わったのが2023年7月です。沿線自治体による「房総地域東京湾口道路建設促進協議会」が、約10年の時を経て復活したのです。国への要望窓口として、実現に向けた活動が活発化しました。
さらに2024年10月には、「協議会」から一歩進んで「期成同盟会」が設立されました。これについては「国等へ今後より一層強く働きかけなどを行うため、民間の経済団体等にも参画を募り」とはっきり書かれています。
10月29日には設立総会が開催され、「千葉県房総地域は、東京圏に近いものの関東地方の最南部に位置する半島であることから地理的に不利な状況にあり」としたうえで、「東京湾口道路の早期建設は必要不可欠であり、構想の具体化に向けて国等へより一層強く働きかけることが必要である」と宣言しています。
早ければ2025年度予算にさっそく前進があるかもしれない、東京湾口道路。
一般的に、具体化に向けて最初のステップは、概略ルートを決定する「計画段階評価」となります。通例では2回の地域アンケートによって概略ルートを3案から最終案に絞り込んでいきます。地下トンネルか橋梁かなどの基本構造もここで決定されます。
概略ルートが決まれば、都市計画決定と環境アセスメントの手続きが進められ、完了すればいよいよ事業化を待つだけの段階となります。
はたして「計画段階評価」が動き出すのはいつになるのか、今後の動向に注目です。