ヤマハの名車「SEROW(以下、セロー)」は、初心者からベテランまで広いライダーに支持されたモデルです。2020年にファイナルエディションが販売され、セローシリーズは幕を下ろしました。一体どのようなバイクなのでしょうか。
■ヤマハの名車オフロード「SEROW」とは
ヤマハ「SEROW(以下、セロー)」は、初心者からベテランまで幅広いライダーに支持されたオフロードバイクの名車です。
その最終モデルであるセロー250ファイナルエディションは、多くのファンに惜しまれつつ2020年に生産を終了しました。
一体、セローはどのような歴史を持ち、なぜその幕を下ろしたのでしょうか。
セローは1985年に初代モデル「XT225 SEROW」として登場しました。
その名は「SEROW(日本語名でカモシカ)」に由来し、軽快さと高い走破性を体現しています。
当時のオフロードバイクはパワフルなエンジンや重厚なボディが主流でしたが、セローは軽量な上にコンパクトで扱いやすく、幅広い層に受け入れられる画期的な存在でした。
セローは「トレッキングバイク」として、舗装路でもオフロードでも快適に走れる性能を追求していました。
低速トルクに優れた単気筒エンジン、自然なライディングポジション、優れた軽快性を特徴としています。
日本市場では「オフロード入門車」として人気を博し、特に林道ツーリングなどを楽しむライダーが多く愛用していました。
5世代にわたり進化を続けたセロー225シリーズは、2004年に幕を閉じました。
その後2005年にフルモデルチェンジが行われ、「セロー250」が登場。
同じセローの名を冠していますがヤマハの「トリッカー」をベースに新設計され、見た目が大きく変化しました。
一方で、セローの特徴であった軽量、コンパクト、扱いやすさはそのまま継承され、排気量をフルサイズの250ccにアップ。また、足回りやメーターなども刷新され走行性や利便性が向上しました。
2008年には、排出ガス規制に対応するため、燃料供給方式をキャブレーターからフューエルインジェクションへ変更。
さらに、キャスター角とトレール量の見直しや始動性、常用域のトルク特性、環境性能を向上させ熟成されたモデルへと進化しました。
2017年9月に排出ガス規制強化によりセロー250の生産終了が発表されましたが後継モデルを開発中であることも発表されました。
そして、2018年8月に排出ガス規制に対応し、セロー250は1年のブランクを経て復活。
しかし、灯火器規制、ABSの義務化、欧州環境規制「EURO 5」と続々とバイクに対する規制が重なり、対応させるには大幅な仕様変更、コストアップが余儀なくされ、ヤマハは惜しまれつつもモデル継続を断念。
長年愛されてきたモデルだからこそ、ヤマハはその歴史に敬意を表し、2019年12月にファイナルエディションを発表しました。
2020年1月に発売し、セローシリーズは幕を下ろしました。
■セロー250 ファイナルエディションとはどんなバイク?
ヤマハ セロー250 ファイナルエディションは、250ccクラスの軽二輪に分類されるバイクです。
外装は、1985年発売の初代モデルを彷彿とさせるカラーリングに現代風にアレンジされたロゴやカモシカのグラフィックデカ―ルが特徴です。
フレームもそれぞれカラーフレームを採用し、統一感のあるスタイリングに仕上がっています。
ヘッドライトは100mm径レンズの丸目デザインにハロゲンバルブを搭載。
燃料タンク上部には、「FINAL EDITION」のエンブレムが配置され、特別感を強調しています。
足回りには、専用のゴールドリムホイールにフロント21インチのチューブタイヤ、リアに18インチのチューブレスタイヤを装備。
サスペンションはフロント225mm、リア180mmのロングストロークを持ち、オフロードでの高い走破性、足つきを実現しています。
パワーユニットは最高出力14馬力、最大トルク20Nmを発揮する、249cc空冷4ストローク単気筒エンジンを搭載。
柔軟なトルク特性を持ち、低中速域での扱いやすさに優れ、険しい山道や街中の走行でもストレスなく運転できます。
燃費性能は、WMTCモードで38.7km/L。燃料タンクは、9.3Lと長距離移動も可能なスペックです。
機能面は、シンプルなデジタルメーターのみです。
カラーバリエーションは、「ホワイト/グリーン」「ホワイト/レッド」の全2色。
セロー250ファイナルエディションのメーカー希望小売価格(消費税込)は58万8500円。
最大乗車定員は2名で、運転には普通自動二輪車免許許以上が必要になります。
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セロー250ファイナルエディションは、既に生産・販売を終了していますがバイク販売サイトなどでは、ほんの僅かですが新車がまだ販売されています。
セローは、単なるバイクではなく、ツーリングやキャンプ、登山道のアプローチなど、多用途に活躍したその走行性能は、多くのライダーに「走る楽しさ」と「自然との調和」を教えてくれたモデルだと言えます。