1989年に発表されたいすゞのミッドシップスポーツカー「4200R」は、美しいデザインと高性能、実用性を兼ね備えたコンセプトカーでした。
■いすゞが開発した「スーパースポーツカー」!
「いすゞ」といえば、トラック・バスなどの商用車のイメージが強いメーカーですが、かつては普通乗用車も製造・販売していました。
スタイリッシュなスポーツモデルも数多く手掛けており、過去のモーターショーでは魅力的なスポーツタイプのコンセプトカーも多数展示。
中でも「4200R」というモデルは、現在も記憶に残る、同社のフラッグシップカーに成り得た存在でした。
4200Rは、いすゞが開発したミッドシップレイアウトのスーパースポーツカーです。
「いすゞが手掛ける乗用車の個性化と差別化を表現するイメージリーダー」として生み出され、1989年に開催された「第28回東京モーターショー」でお披露目されました。
同車の特徴となるのは、そのエクステリアデザインです。
デザインを手掛けたのは、当時いすゞのヨーロッパスタジオでチーフデザイナーを務めていた中村史朗氏や、当時ロータスのデザイナーだったジュリアン・トムソン氏など数名が担当。
いすゞの伝統とする「カプセルフォルム」の究極形を目指し、フロントからリアへと流れるような美しいスタイリングを生み出しました。
特にサイドシルエットは、欧州のスーパーカーと比べても引けを取らないほど美しいボディデザインに仕上がっており、多くの来場者が流麗なフォルムに目を奪われました。
さらに横一文字のテールライトや2本出しマフラーを装備したリアデザインも思わず目を奪われる美しさで、新時代のスーパーカーらしさを感じさせるポイントでした。
この流麗なボディにミッドシップレイアウトで横置き搭載されるパワーユニットは、新開発の4.2リッターV型8気筒エンジン。
詳細なスペックは明らかにされませんでしたが、当時の最新スポーツモデルの性能を鑑みると、最高出力280馬力は下らない高性能エンジンだったと思われます。
トランスミッションには5速MTを採用し、足回りにはロータスと共同で開発したアクティブサスペンションを装備。
走行性能だけでなく、高い操縦性や乗り心地の良さも兼ね備えていました。
ちなみに車名の「4200R」は、エンジンの排気量「4200cc」に、いすゞのフラッグシップモデルを表す「R」を組み合わせたものとなっています。
キャビンはミッドシップレイアウトのスポーツモデルでは珍しい2+2シーター。
ただし後部座席は非常に狭く、大人が座るのは難しいサイズでした。
室内にはビデオデッキやファックスといった車載が珍しい機器を搭載し、この点は時代を感じさるもの。
その他にもカーナビやオーディオシステムなど、ハイクラスセダンのごとく快適装備が満載だったのも4200Rの特徴です。
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当時はホンダが「NSX」を発表するなど国産スポーツカーが大いに盛り上がっている時期であり、いすゞの4200Rも市販化が期待されました。
ところが、1993年にいすゞが会社の方向性を転換したため、開発計画が終了。
当時お披露目された4200Rも、残念ながら現在は解体処分されてしまった言われています。