かつてスズキが提案したコンセプトカー「X-HEAD」。アウトドアでの趣味が定着した現在の視点で見ると、今なお魅力的な小型ピックアップトラックでした。
■スズキのゴツすぎる「超本格SUV」がカッコいい!
2025年1月10日から12日まで、幕張メッセ(千葉県千葉市)では世界最大級のカスタムカーイベント「東京オートサロン2025」が開催。
このような国内外の自動車イベントでは、発売間近のニューモデルのほか、未来を予感させるコンセプトカーが展示され、注目を集めます。
しかし残念ながら、発売を求める声が多く寄せられるものの市販化が叶わないコンセプトカーも少なくありません。
スズキの「X-HEAD」も、多くの注目を浴びながら、発売されなかったモデルのひとつでした。
X-HEADは、2007年に開催された「第40回 東京モーターショー」で発表。
スズキの本格SUVである「ジムニー」や「エスクード」、そして「キャリイ」といったモデルのDNAを継承するクロスユーティリティビークルとして披露されました。
X-HEADのボディは、前半分がハイリフト化された車体で、リアはピックアップスタイルというユニークなデザインを採用。
力強く角張ったボンネットフードや、切り立った直立のフロントウィンドウを装備したことで、まるで軍用車を思わせるようなタフなスタイルが話題となりました。
走行性能においては、スズキが培ってきた四輪駆動技術を搭載し、高い悪路走破性を実現。
強固なラダーフレーム構造のボディによって、高い耐久性能を確保したほか、車体後部にある荷台を交換することが可能で、用途に応じたカスタマイズができる点もX-HEADの特徴でした。
実際に展示された車両では、オフロードバイクを荷台に積載するなど、アウトドアライフに対応したカスタムを実施。
そのほか、大人2人が寝泊まりできる「キャンパー」や、救難・救助を行う「レスキュー」など、様々なシチュエーションで活躍するX-HEADの姿も提案されていました。
そんなX-HEADの車体サイズは思いのほかコンパクトで、全長3750mm×全幅1695mm×全高1860mm。
これは軽自動車より約350mm長い程度の全長で、全幅もいわゆる5ナンバーサイズに収まるもの。
街での取り回しも良好で、搭載するパワーユニットは1.4リッターのガソリンエンジンが想定されていました。
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このように、ジムニー並みの走破性やキャリイの積載性を持ちながら、コンパクトなサイズ感を実現した斬新なピックアップトラックのX-HEAD。
他に類を見ないモデルで、個性的なデザインも備えるため発表直後から人気を獲得しますが、先述のように市販化されることはありませんでした。
しかし昨今のアウトドアブームや、野外で楽しむ趣味がすっかり定着した現在から考えると、X-HEADは時代を先取りしすぎたコンセプトカーだったかもしれません。
時代が変わりつつある中で、スズキから再びX-HEADのように積載性や実用性を備えたモデルが登場するのか、スズキの今後の新型車に注目と期待が集まります。