多人数乗車ができる「ミニバン」は便利なものですが、高速道路ではセダンよりも横風の影響を受けやすいとされています。どうしたら安定して走れるのでしょうか。
■「ミニバン」の背の高さがメリットにもデメリットにもなる
家族や友人など、大勢で出かけるときに活躍するのが「ミニバン」です。
1台で多人数乗車できるのは経済的にもありがたい存在ですが、その一方で、セダンやSUVともまた違う運転感覚が必要だといいます。
というのも、多人数が快適に過ごすことができる広い車内や全高の高さが、高速道路での走行にデメリットとなるのです。一体どのようなところに注意する必要があるのでしょうか。
ミニバンを運転する際、大きいフロントウインドウによって視界が良く、高い着座位置で周囲の状況を把握しやすいことがメリットとしてあります。
その反面、背の高い平面的なボディ形状は走行中に風の影響を受けやすいのも事実。さらにコーナリングなども重心の高さと相まって不安定になりやすいとも言われています。
実際に「ヒヤリハット経験」を、トヨタ「ノア」にお乗りのNさん(50代男性)に聞いてみたところ、やはり高速道路や山岳路などでヒヤッとしたことがあるのだそうです。
「高速道路、特に周囲が開けた場所や海や山に近い高所を通る場合などは、風の影響を大きく感じます。強い風ですと1車線くらい持っていかれる感覚です。
トンネルの出口や防音壁の切れ目などで突風が吹いたような状態になることがあるのですが、下りのカーブなどもミニバンは挙動を乱しやすい印象があります」
ちなみに、風速10~15mの状態は、高速道路に設置されている吹き流し(鯉のぼりの鯉みたいなもの)が水平になる程度の強風となり、ミニバンはハンドルが取られることもあるようです。
さらに強い風速15~20mになると、人が風に向かって歩くのが困難で、傘をさせないほどの強風。ミニバンだけでなく一般的な乗用車なども風の影響でハンドルが取られやすくなり、通常のスピードでは走行しにくくなります。
そして風速20m以上になると、人は立っていられず、トラックやバス、そしてミニバンなども横転する危険性があるほどの強さ。場合によっては高速道路の強風区間が通行止めになることもあるとされています。
では、ミニバンで高速道路を安全に走るためのコツはあるのでしょうか。
教習所に勤務していた元教習指導員のI氏に話を聞くと、風の影響を受けやすいボディ形状であること、重心が高いこと、さらに車重が重いことを意識することが大切だと言います。
「ミニバンや軽スーパーハイトワゴンなどもそうですが、一般的なセダンなどと比べて車高だけでなく重心も高い設計になっています。さらに平面的な形状もあって風の影響をモロに受けてしまいがちです。
とにかく風にあおられないようにハンドルをしっかり握ることが大切で、さらに通常より10%程度は速度を落とすだけでも挙動は安定しやすくなります」
ここで覚えておきたいのが、アクセルやブレーキの使いかたです。走行中の速度調整やコーナリングなどでブレーキを頻繁に踏む人がいますが、挙動が乱れる原因となるといいます。
「クルマは駆動力をかけた(アクセルを踏んだ)状態のほうが車体は安定します。簡単に言えば、ブレーキではなくシフトダウンなどで速度調整し、アクセルから足を離さずにタイヤには常に駆動力をかける意識です。
コーナリングでは、『スローイン・ファーストアウト(進入はゆっくり、脱出は早く)』がありますが、ミニバンの場合は『スローイン・スローアウト』でもいいでしょう」(元指導員 I氏)
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高速道路でミニバンを運転する際は、風の影響で挙動を乱さない運転を心がけることが必要です。
そのためには、挙動が安定する安全な速度で走行することが、ミニバンを安全に走らせるコツだといえるでしょう。