冬の時期、積雪地域や寒冷地に住んでいる人は、クルマにスタッドレスタイヤを装着済みでしょうが、あまり雪が降らない都市部ではノーマルタイヤのままという人もいます。では、ノーマルタイヤで走行中、突然の積雪や凍結に見舞われたらどう対処すべきでしょうか。
■ノーマルタイヤで雪道を走るときの備えとは?
2024年から2025年にかけての冬は、すでに大雪に見舞われた地域もあるなど、雪が降りやすい傾向となっています。
積雪地域や寒冷地に住んでいる人は、クルマの冬支度として「スタッドレスタイヤ」を装着済みかと思いますが、雪が降らない地域の人は、「ノーマルタイヤ(夏タイヤ)」のまま冬を越そうと思っている人も多いでしょう。
しかし、突然の積雪や路面の凍結に見舞われる可能性もゼロではありません。
ノーマルタイヤでそういった状況に遭遇してしまった場合、どう対処すべきなのでしょうか。
まず、積雪や凍結した路面では、冬用タイヤの装着が義務として法令で定められています。
これは道路交通法第71条に基づき、「積雪または凍結により明らかにすべると認められる状態にある道路において、自動車又は原動機付自転車を運転する時は、タイヤチェーンを取り付ける等してすべり止めの措置を講ずること」と明記されています。
未装着の場合、罰則として(違反点数はないものの)、普通車や二輪車は6000円が科されます。つまりノーマルタイヤでの雪道走行は違反となり得るのです。
しかし、法令違反以上に、ノーマルタイヤで雪道を走る行為は、発進ではスリップし、曲がり角では曲がり切れず、ブレーキを踏んでも止まれないなど、周囲に与える悪影響のほうが大きく、高速道路では大きな事故に発展しかねません。
そこで積雪や凍結した道路に遭遇する可能性のある冬の時期、どのような対策をしているのか、各エリアの人に聞いてみました。
長野県のスキー場でインストラクターとして勤務するYさんは「スタッドレスタイヤは必須」だと言います。冬の前にスタッドレスタイヤに履き替えることを習慣化としており、ノーマルタイヤのまま越冬することはないそうです。
凍結が多い栃木県でクルマの整備士をしているTさんはスタッドレスタイヤを推奨。ただし、栃木県でも積雪が少ない地域のため、スタッドレスタイヤは主に凍結路対策だといい、ノーマルタイヤのままという人も少なくないようです。
スタッドレスタイヤに交換しないのであれば、金属や樹脂製のチェーンをクルマに積載しておくべきでしょう。
一方で東京都の自動車販売店のスタッフDさんは、都市部では積雪は年に数回あるかないかということで、基本的にノーマルタイヤのまま冬を過ごすとのこと。
路面の凍結に関しては、場所と時間を考慮した走り方を心がけているそうですが、最低限の対策として「布製チェーン」は準備していると教えてくれました。
では、どうしてもノーマルタイヤで走行を続けなければいけない状況に遭遇してしまった場合は、どうすればいいのでしょうか。
前出のT整備士(栃木県在住)は、積雪だけでなく路面の凍結を考慮して走ることが重要だといいます。
「本来ならチェーンを装着すべきですが、突然雪が降ってきたなど、すぐに対応できない場合は、とにかく速度を徐行レベルにまで下げることが大切です。
いつも以上に車間距離を取る、特にアクセルを踏むときは『急』がつく操作をしない、カーブや曲がり角では手前で十分減速しハンドルも徐々に切るなど、丁寧な運転を心がけましょう」
ただし、これらは応急処置です。走行を続ける場合は、速やかにチェーンなどを装着しなければならないことを覚えておきましょう。
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凍結しやすい箇所としては、日陰や段差、橋の上やトンネル周辺などが挙げられます。
また一般道でもっとも危険な凍結が「ブラックアイスバーン」と呼ばれる、一見濡れている路面に見える凍結です。
JAFの実験によると、降り積もった雪が踏み固められた「圧雪アイスバーン」より約6倍も制動距離が伸びることが明らかになっており、積雪路でなくても冬は慎重に運転しましょう。