気象庁は2025年10日から13日にかけて、「大雪と暴風雪、高波に関する気象情報」を発表していますが、気温が低くなることで様々なトラブルも予想されます。自動車ユーザーにとっては「フロントガラス」の凍結もそのひとつです。フロントガラスの凍結に関して、一部では「お湯をかける」という方法を試す人がいますが、実はこの方法はやってはいけないものでした。
■熱湯だけは絶対NG!!正しいフロントガラスの解氷方法とは
2025年1月8日に気象庁は10日から13日にかけて、「大雪と暴風雪、高波に関する気象情報」を発表しました。
関東でも気温が低くなり、雪が降る可能性があります。
そうしたなかで、雪が降らなくても気温が低くなることで、道路の凍結やクルマのフロントガラスの凍結なども起こります。
フロントガラスの凍結に関して、一部では「お湯をかける」という方法を試す人がいますが、実はこの方法はやってはいけないものでした。
フロントガラスが凍ってしまった場合、熱湯で溶かすとフロントガラスが割れる可能性があります。
かけてすぐ割れなくてもダメージが蓄積し、走行中にちょっとしたきっかけで割れてしまうことも。
では、フロントガラスの氷はどのように溶かせばよいのでしょうか。
冬になると、雪や路面凍結による事故、通行止めが毎年のように話題になっています。自動車にとって、寒さは大敵であると多くの人が認識しているでしょう。
めったに雪が降らない地域や路面凍結がない地域でも、油断はできません。
東京都心でも、寒い日にはフロントガラスに霜が降り、凍りついてしまっていることもあります。
そんなフロントガラスの凍結ですが、2014年2月にJAFは長野県で行った「フロントガラスの凍結防止対策」と「フロントガラス凍結時の解氷方法」の実験を行っています。
この実験では、フロントガラスの凍結防止対策の検証として「何も対策を施していないクルマ」、「撥水剤をフロントガラス全体に塗ったクルマ」、「フロントガラス全体にカバーをかけたクルマ」の条件が異なる3台を用意。
結果は、「何も対策を施していないクルマ」はフロントガラスが凍結。
スクレーパーで凍結を削り取ろうとしたものの取り切れず、視界を確保することはできなかったようです。
対して、「撥水剤をフロントガラス全体に塗ったクルマ」は凍結したものの、スクレーパーで凍結部分をきれいに削ることができました。
また「フロントガラス全体にカバーをかけたクルマ」は、フロントガラスは凍結しなかったようです。
これのより、カバーをかけるのが最も有効な手段であることがわかります。
次に「フロントガラス凍結時の解氷方法」では、「解氷剤使用(フロントガラスにまんべんなく散布)」と「デフロスター使用〔内気循環で、設定温度はHI(最高温度)〕」の2台で比較。
結果は、デフロスターを使用した場合に視界が確保できるまで10分程度。
対して、解氷剤を使用するとおよそ1分で凍結を溶かすことができようです。
解氷剤はアルコールなどが含まれており、アルコールは0度で凍らないため水とは違い、溶かした後も再び凍らないのが特徴です。
■凍ったフロントガラスに「お湯」はダメ? なにがヤバい?
またフロントガラスに熱湯をかけて氷を溶かすという人もいるかもしれません。
しかし、その方法で解氷することは推奨されていません。
ガラスという材質は温度差に弱いため、フロントガラスにダメージが入り、最悪の場合は割れが発生してしまうことも考えられます。
フロントガラスに熱湯をかけると、熱くなった部分は膨張します。
一方、熱が伝わっていない部分は膨張していないため歪んでしまい、割れの原因になってしまいます。
ガラスは金属と比べて弾性力が弱く、非常に割れやすいもの。クルマのフロントガラスには安全性が高い合わせガラスが採用されていますが、温度差に弱いという特徴は普通のガラスと同じです。
零度以下になっている凍ったガラスに熱いお湯をかけると、温度差は数十度にもなります。
フロントガラスの氷を溶かすためには、別の方法をとる必要がありそうです。
では、フロントガラスが凍ってしまっている時は、どのように対応するのがよいのでしょうか。
あるカーディーラーの担当者は、次のように話します。
「フロントガラスにお湯をかけるという方法は、当店でも危ないと説明させていただいています。
出かける時間の15分ほど前から車内を温め、エアコンの熱でゆっくり溶かすことでフロントガラスへのダメージが抑えられます」
クルマのエアコンを使用する方法は、追加の用品が必要なわけでもないため、もっとも手軽に実践できます。
急いでいない時でも、時間帯によっては、アイドリングが近所迷惑になってしまう可能性もあります。
また、カー用品店の担当者は、時間がない時の解氷について次のように話しています。
「急いで溶かしたい場合でも、お湯の使用は厳禁です。
すぐに氷を溶かしたい場合は、解氷スプレーを使用するとよいでしょう」
解氷スプレーは、融雪剤と似たような原理で融点を下げ、0度以下でも氷が溶けるようにするものです。
解氷スプレーの使用と共に、スクレーパーをつかって優しく削ぎ落とすと、さらに素早く視界を確保することができるでしょう。
また、凍る前に凍結防止カバーをかけておくと、凍結を防止・軽減することができます。
頻繁に凍結すると感じる場合は、凍結防止カバーを用意しておくのもよいでしょう。
※ ※ ※
フロントガラスの修理代金は車種や修理先によって異なりますが、交換の場合は安くても10万円近くの部品代に加え、工賃が必要になります。
また、飛び石などがきっかけになって走行中に割れが発生した場合、視界が悪くなって事故の原因になってしまうことも。
フロントガラスにダメージを蓄積させないためにも、凍ってしまった場合は正しい方法で解氷するように心がけるとよいでしょう。