Infoseek 楽天

ハンドルの握り方「10時10分」もう死語に!? “教習所の常識”が消滅しつつある「納得の理由」とは…本当に怖いのは「即アウトな握り方」だった

くるまのニュース 2025年1月10日 12時30分

教習所で運転技術を習うとき、ハンドルの持ち方について「10時10分の位置」で握れと指導された記憶のある人も多いかもしれません。最近はこの傾向が変化しているようです。またそもそも、なぜこのような位置で握れと言われるのでしょうか。

■「10時10分の位置で握れ」とは何だったのか

 教習所で運転技術を習うとき、ハンドルの持ち方について「10時10分の位置」で握れと指導された記憶のある人も多いかもしれません。
 
 最近はこの傾向が変化しているようです。またそもそも、なぜこのような位置で握れと言われるのでしょうか。

「10時10分」というのは、時計における長針と短針の位置、つまり左右に約60度ずつ開いた角度の位置を意味します。

 ハンドルといえばこの位置だと頭に叩き込まれたかもしれません。

 しかし、都内のとある教習所指導員は「私たちの教習所では、昔ほど『10時10分』といった指導はしていません」と話します。

 ただし「ハンドルの中心より上の部分を持つこと。ただし真上で両手が近くなる位置もダメ、といったように指導しています」と、握りポイントの推奨位置自体は特に変わっていないようです。最近の若者には、時計を例に出されてもピンと来ないのかもしれません。

 また、ハンドルの中心より下側を握ってしまうと「技能試験で減点対象になります」とはっきり言います。

 ハンドルの下側を握ることは明らかに安全運転ではない、その理由について「ハンドルを切る際、重力に逆らってハンドルを持ち上げる動きになるため、とっさのハンドル操作に影響が出てしまい、安全面で問題があります」と話します。

 ほかにもウィンカーの作動や、マニュアル車であればシフト操作など、他の動作にスムーズに移行しやすいのは、ハンドル上側を持つほうだと言います。

 また問題のあるハンドルの持ち方として「内掛けハンドル」があります。これは奥から手前へ握る持ち方で、腕時計であれば時計面の反対側がこちらに向けられる状態です。

 内掛けハンドルをおこなっていると、ハンドルを回す角度や方向が非常に限定されてしまい、急角度でハンドルを切ることができず、危険回避にリスクを伴います。さらに、腕がエアバッグの真ん前に陣取る格好になるため、衝突時にエアバッグが開く衝撃を腕にモロに受けてしまう危険もあります。

 ところで、「10時10分」をはじめとする「ハンドルの握り方の基本」は、あまり徹底されているようには思えません。ネット上の動画や画像でも、下側握りもふくめ自由気ままなハンドルの持ち方が散見されます。

 こうした背景としては、ハンドルへの「パワーステアリング」の普及によって、昔よりも軽い腕力でハンドルを回すことができるようになった点が挙げられます。

 先述の「下側握りだと、重力に逆らうのでより大きな力が必要」というのも、パワステによってあまり影響が無くなってきているのかもしれません。

 さらに、そもそも「円形のハンドル」が常識では無くなってきています。

 例えばレクサスのクロスオーバーEV「RZ」は、レーシングカーのような蝶ネクタイ形のハンドルを採用。さらに日産のコンパクトカー「ノート」やミニバン「セレナ」などに代表される、下部が円形ではない「D型ハンドル」もあります。またトヨタ「アクア」など「楕円形ハンドル」を採用するクルマも。

 こうなると「10時10分」がどこを指すのか、という話になってきます。ただ、先述の「内掛けハンドル」など、腕の動きに支障が出る持ち方は、今も危険であることには変わりありません。教習所で習った「基本」をしっかり守るその精神こそが、すべての安全運転につながるものと言えるでしょう。

この記事の関連ニュース