日産の高級ミニバン「エルグランド」には、2列シート4人乗りの「VIP」という豪華な仕様がラインナップされています。どのようなモデルなのでしょうか。
■「エルグランドVIP」の贅沢すぎる後席とは?
昨今、高級感あふれるラージサイズのミニバンとしてトヨタ「アルファード/ヴェルファイア」が人気を独占していますが、もともと「高級ミニバン」というジャンルを築いたのは日産でした。
1997年に登場した初代「エルグランド」は、メッキパーツなどをふんだんに使用したプレミアム感のあるエクステリアや、豪華で広いインテリアなど、当時は存在しなかった高級ミニバンという新たなジャンルを開拓したのです。
現行エルグランドは2010年にフルモデルチェンジした3代目モデルで、2代目までの縦置きエンジン・後輪駆動ベースのプラットフォームから、横置きエンジン・前輪駆動の新開発プラットフォームに刷新され、低重心化による走行性能の大幅な向上が図られました。
2回のマイナーチェンジを経て、エクステリアも豪華に進化。迫力のある特大フロントグリルを装着するなど、デザインも強化されています。
2024年4月に発売された最新モデルでは、「インテリジェント アラウンドビューモニター(移動物 検知機能付)」、「ディスプレイ付自動防眩式ルームミラー」を全車に標準装備することで、安全性も高めました。
408万2100円からという価格(消費税込)で販売されるエルグランドですが、その2倍の価格のモデルがラインナップされています。
それが、「エルグランドVIP」です。
エルグランドVIPは、エグゼクティブのための「走る執務室」をコンセプトにした仕様。日産車の特装車やカスタマイズをおこなう日産モータースポーツ&カスタマイズが製造します。
外観は、通常仕様と大部分は同じなのですが、Cピラーとリアに「VIP」のエンブレムが配され、特別なモデルであることをアピールしています。
ボディカラーは「ミッドナイトブラック」「ピュアホワイトパール」「ダークメタルグレー」といったシックなカラーのほか、深みのあるレッドが華やかな「ディープクリムゾン」「ディープクリムゾン/ミッドナイトブラック2トーン」がラインナップされます。
そして、エルグランドVIPの最大の特徴はインテリアにあり、3列シート7人乗りに加え、2列シート4人乗りの贅沢な仕様をラインナップ。
前席2+後席2の4人乗りですが、後席のキャプテンシートは足元を広く確保したほか、電動オットマン付きのキャプテンシートには大型アームレスト、パワーリクライニング、シートヒーターが内蔵されています。
このキャプテンシートはシートバック中折れ機構を採用しており、乗員の体格や姿勢に合わせることが可能。背もたれに身をゆだねながら、体を起こして本を読んだりドリンクを飲むこともでき、快適に移動することができます。
また、4人乗り仕様では、VIP専用のキャビネットをオプション設定。ティッシュなどが入るアッパーボックスや、A4サイズの書類が格納できる大型収納、高級感を演出するLEDダウンライトが装着されます。
さらに、4人乗り仕様はラゲッジルームも特別なものが備えられていて、ラゲッジのルーフ部にハンガーフックが装備され、衣服をかけることができます。加えて、通常仕様よりもラゲッジルームの奥行が拡大されているため、ゴルフバッグを縦に積むことも可能となっています。
そのほか、乗降用のステップも搭載され、運転席のハンドル横にある「ステップのON/OFFスイッチ」をONにすると、助手席ドア、スライドドアの開閉と連動して展開。イルミネーションが足元を照らすことから、夜間でも安心して乗り降りできます。
搭載されるエンジンは、最高出力280馬力・最大トルク344Nmを発揮する3.5リッターV型6気筒ガソリンエンジンにCVTを組み合わせたもの。駆動方式は2WDと4WDが設定されます。
では、豪華な最上級仕様のエルグランドVIPは、どのような人が購入しているのでしょうか。
日産モータースポーツ&カスタマイズによると、9割以上が法人のユーザーとなっており、芸能事務所で所有するケースもあるそうとのこと。
約7割の購入者はボディカラーにミッドナイトブラックを選択するなど、後席に要人を乗せることを目的とした「ショーファーカー」ということもあり、落ち着いた色が選ばれているようです。
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エルグランドVIPの価格は、3列シート7人乗りが636万7900円(2WD)から666万8200円(4WD)、2列シート4人乗りが807万8400円(2WD)から837万8700円(4WD)です。