日産・自動車大学校は、2025年1月10日に開幕したカスタムカーショー「東京オートサロン2025」で、カスタムカー「ブルーバード・極」を公開しました。どのようなクルマなのでしょうか。
■若者向けの「ブルーバード」!? 旧車感が魅力
日産グループで自動車整備専門学校の日産・自動車大学校は、2025年1月10日に開幕したカスタムカーショー「東京オートサロン2025」で、カスタムカー「ブルーバード・極(きわみ)」を公開しました。
旧車のセダンながらも、若年層に向けたカスタムを施したといいますが、どのようなモデルなのでしょうか。
日産・自動車大学校では毎年東京オートサロンに出展し、車体系課程の学生による授業の集大成として、カスタムカーを製作し披露しています。
今回披露されたブルーバード・極、日産愛知自動車大学校(以下、愛知校)の自動車整備・カーボディーマスター科 3年生が、非常に短いわずか2.5か月の製作期間を経て製作したカスタムカーです。
ベースとなった車両は、36年前に日産が販売していた「ブルーバード」(7代目・PU11型)の最上級モデル「ブルーバードマキシマ」。
トヨタの普及セダンモデル「コロナ」とは最大のライバルにあたるベーシックなモデルで、1983年登場の7代目でははじめてFF(前輪駆動)を採用。
一方ブルーバードマキシマでは、センターピラーレス構造を採用した4ドアハードトップボディにV型6気筒エンジンを組み合わせ、高級感と広い室内空間を実現したことで、当時非常に高い人気を誇りました。
このブルーバードマキシマをベースに、「ラグジュアリー&スポーツ」をコンセプトに掲げ、学生と同世代の人をターゲットとした、“若年層が楽しめるクルマ”へとカスタム。
豪華な内外装とスポーティな走行性能を発揮するモデルとすべく、まさに自分の愛車を作り上げる思いで製作したといいます。
担当した学生は以下のように話します。
「自分たちの世代はクルマのミーティングにも積極的に参加するのですが、ミーティングでぱっと目立つようなクルマを目指しました。
当初、ベース車には『サニトラ』や『R30型スカイライン』も候補あったのですが、高級感があって、しかもV6エンジンを搭載する四角いセダンということで、ブルーバードマキシマを選びました」
車名の「極」とは、日産ならではのDNAを活かしたクルマの楽しさを表現し、外装・内装・走りすべてを極めたいという思いから命名。
そのため、エクステリアだけでなく走りや内装の質感に至るまで、クルマ好きの「極み」を追求した姿になっています。
ボディカラーには「オーロラフレアブルーパール」を採用。これは日産のカスタムブランド「AUTECH(オーテック)」の専用カラーで茅ヶ崎の海や青空が由来です。
このカラーは開発コンセプトとターゲット層に合わせたもので、活動的かつ若々しい雰囲気を表現しました。
エクステリアは大きく盛り上がったブリスター形状の前後フェンダーが目をひきますが、車体の最大幅から10mm程度しか張り出していないことがポイントです。また。フェンダーの張り出し部にはダクトを設けてスポーティに仕上げています。
いっぽう、ワイドフェンダーになったことでリアドア周辺は段差が生じますが、ドアを肉盛りすることでフェンダーとの面出しにも苦労したといいます。
また、サイドスカートは当初FRP素材を用いたということですが、熱などで変形してしまったため、木材を用って削って合わせた箇所や、リアフェンダーの形状とぴったり合わせた点にも注目してほしいといいます。
リアは小ぶりなスポイラーを装着していますが、いわゆる旧車カスタムにあるような大きなスポイラーにする品がなくなってしまうということから、形状が小型に。マフラーも溶接で作成したものですが、大きすぎない砲弾型を備え、当時らしい雰囲気を醸し出しています。
これらの点以外はベースのブルーバードマキシマの良さを大いに活かしており、たとえばインテリアはベロア調の上質なシートや純正のカセットデッキをそのまま残置。ナルディステアリングの装着や、走行性能追求のためのロールケージを組み込む程度に抑えています。
※ ※ ※
学生によると、80年代から90年代のいわゆる“ネオクラシック”が流行している若年層には「(感性に)刺さっている」といい、現代には見られないスクエアなデザインが新鮮に映っているようです。
一方で、ブルーバードマキシマの新車当時を知る40・50代の人からも、「昔乗っていた」「懐かしい」という感想も寄せられ、大いに盛り上がりを見せています。