ホンダは東京オートサロン2025で今秋に発売を予定している新型「プレリュード」のプロトタイプを公開しました。このクルマの大きな特徴はなんでしょうか。担当者にお話を聞きました。
■操る喜びをプレリュードでも表現したい
2023年のジャパンモビリティショーで初めて公開された「プレリュードコンセプト」。東京オートサロン2025では、それをベースにフロントとリアにエアロパーツを装着した新型「プレリュードプロトタイプ」を公開し、このクルマでのカスタマイズの楽しさも訴求しているようです。
2025年秋にも登場するという新たな“新型プレリュード”を、「電動化の時代においても、操る喜びを、高揚感を感じるスペシャリティハイブリッドスポーツ」と位置付けるのは本田技研工業 統合地域本部 日本統括部の高倉記行 統括部長です。
「ハイブリッドシステムがもたらす圧倒的な燃費の良さと、大出力モーターによる上質で爽快な走りに加えて、五感に訴えかける新システムとして、Honda S+Shiftを初搭載します」と新たな技術を投入することを明かしました。
これは、「エンジン回転数に応じた迫力のあるサウンドでドライバーの高揚感をかき立てるとともに、鋭いシフトフィーリングを実現。メーターとも連動しクルマとの一体感を増幅するホンダハイブリッドシステムならではの新しい制御です」と述べ、「まるで有段ギアを変速したかのようなドライブフィールを実現し、エンジンと、大出力モーターの協調がもたらすリニアな変速レスポンスによって、ドライバーの操作にダイレクトに呼応し操る喜びを提供します」とその印象を語ります。
因みにこの機能は、「次世代のe:HEVを搭載する全機種に順次展開する予定です」とのことなので、ホンダのハイブリッドは順次このシステムを導入することになるのです。
そして新型プレリュードは、「カーボンニュートラルの時代においても、また自動運転技術が普及していく過程においても、操る喜びを提供し続け、継承していくモデルです」とコメントしているのがホンダの未来を示唆しているようで印象的でした。
■Honda S+Shiftがキーとなる
さて、プレリュードの大きな特徴のひとつがこのHonda S+Shiftといっていいでしょう。本田技研工業 統合地域本部 日本統括部 国内四輪営業部 商品企画課主任の川嶋健太さんも「一番のウリ」と認めるところですし、「シビックType R」の足回りを流用した以上、操る喜びに手を抜くことはありえないからです。
因みにこのネーミングには、「S600」や「S2000」、「TYPE S」など、ホンダの操る喜びの根源となるスポーツスピリットを表すモデル・技術に冠する“S”に加え、“Synchronize”、“Special”、“Sensational”など、本機能がもたらす新たな価値を“+(プラス)”し、ヒトとクルマを新たな世界に“Shift(シフト)”させていくという思いが込められています。
本田技研工業 統合地域本部 日本統括部 国内四輪営業部 宣伝・広報課主任の宮本慶浩さんによると、このシステムは「シビックe:HEV」などに搭載されているリニアシフトコントロールの進化版とのこと。
簡単に述べるとこれまでは加速側のみの制御だったところから、減速側も制御するようになったことと、それらを音でも表現し、「五感(正確には三感)で体感できるようにしています」と話します。
さらに「減速側はブリッピングみたいなのも感じさせていることで、走る喜びを強調しているのです」と説明してくれました。因みにこのサウンドは「実際の音だと足りないので、さらにプラスしている音も出ています。すごく評判はいいですね」とのことでした。
また、減速側の制御では、「これまでのハイブリッドはブレーキを踏むと回生させるためにエンジンが停止していましたが、Honda S+ Shiftはブレーキを踏むと逆にシフトダウンしたかのようにエンジンが回転数が上がるんです。
そうするとそこで発電が始まりますので、強力なパワーが即使えることになります。ですから、立ち上がりの機敏さも今までのモーター以上です。ですから音だけではなく機能もあるという、ハイブット史上一番すごい技術ではないでしょうか」と語っていました。
新型プレリュードはハイブリッドであっても操る喜びを忘れないホンダらしい1台となるでしょう。ここから見えてくるのはシビックType Rが内燃機関の究極のスポーツカーであり、プレリュードはハイブリッドのそれということです。では、BEVはどうなるのか。いまのホンダなら間違いなく開発していることでしょう。
走る楽しさ、操る喜びはホンダの大切なDNAだからです。