市街地などでときどき、駐車車両を見て回る「緑のおじさん」をみかけることがあります。明らかに警察官とは違いますが、彼らは何をしているのでしょうか。
■実は警察ではない「緑のおじさん」
市街地などで「緑のおじさん」を見かけることがあります。緑色の共通のユニフォームを着用し、主に2人組で自転車などで移動していることもあります。
警察官とは違いますが、この緑のおじさんはいったい何をしているのでしょうか。
彼らの動きをみると、止まっているクルマをじっと見て回り、そのまま立ち去ることもあれば、自転車を止めて何かをし始めることもあります。
その後、クルマの周囲を確認したり、写真を撮ったりして、手元の端末で何か入力を行っています。
この緑色のユニフォームで放置車両の監視を行っている人の正体は「駐車監視員」といいます。
そのユニフォームの色から緑のおじさんとも呼ばれており、名称の通り、駐車違反車両を発見して取り締まりを行っています。
しかし、意外に知られていないのが、彼ら駐車監視員は違反を取り締まるのに「警察官」ではないことです。
基本的に駐車違反の取り締まりは警察官の職務であり、放置車両の通報があれば警察官が出向いて取り締まりを行います。
しかし、市街地など特に放置車両の多い地域では、駐車監視員による巡回監視が行われており、一定の範囲でのみ取り締まりの権限があるのです。
実際に駐車監視員は、公安委員会から「駐車監視員資格者証」の交付を受けた人のみが従事できる職務となっています。なお駐車監視員資格者証の取得には、講習や考査を受ける必要があります。
業務中は、緑色の制服に駐車監視員と書かれた腕章、蛍光チョッキを着用して遂行します。各警察署によって作成された「活動ガイドライン」に基づいて、指定されたエリアや時間帯において放置車両を巡回監視しているのです。
例えば東京都では、島部を除く東京都内全域に駐車監視員の活動エリアが設定されています。
ただし、具体的な巡回エリアや時間帯は個別に定められており、警視庁のWebサイトで確認できるようになっています。
そして指定されたエリアを巡回し、放置車両を発見して対処します。
具体的には、対象となるクルマの車両番号(ナンバープレート)や違反場所などの違反状況を写真に撮影して記録します。
次に、駐車監視員が携行する端末で「駐車違反確認標章」という黄色いステッカーを発行し、対象車両のフロントガラスなど見やすい場所に貼り付け、再び放置車両を撮影します。
取り締まりを行った車両の情報は、駐車監視員の携行端末に記録され、管轄する警察署に報告される仕組みです。
駐車違反確認標章を受け取った運転者は、警察署に出頭して反則金の納付を行わなければなりません。
運転者が出頭しない場合は、使用者責任としてクルマの所有者のもとへ放置違反金を支払うよう通知が届きます。
なお、駐車監視員の業務は駐車違反確認標章を貼り付けるまでで、警察官のようにその場で違反切符を切ったり、運転者から反則金を徴収することはありません。
その一方で、駐車監視員が業務に従事している間は「みなし公務員」として、警察官などと同じ公務員として扱われます。
そのため、駐車監視員に対して執拗に抗議するなど業務を妨害すると、公務執行妨害罪が適用される可能性があるため注意が必要です。
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クルマに駐車違反の黄色いステッカーが貼られていたら、そのエリアで通称緑のおじさんの巡回監視活動が行われていたかもしれません。
緑のおじさんの巡回エリアは、特に放置車両の多い場所や、放置車両があると交通の妨げとなったり危険を生じたりするエリアでもあるため、短時間であってもクルマを放置しないことが大切です。
なお駐車違反は「放置駐車違反」として、普通車で駐停車禁止場所等では1万8000円、駐車禁止場所等では1万5000円が課せられます。