近年主流となっている「スマートキー」は、キーを持っていなければ施錠することはできず、クルマのなかにキーがあると判断すれば、警告音を発してくれる優れモノ。しかしそんなスマートキーが普及している今もなお、キー閉じ込みは多く発生しているといいます。なぜでしょうか。
■今も「JAFロードサービス」出動理由の5位に入る「キ―閉じ込み」
現在、クルマのキーの主流になった「スマートキー」は「キー閉じこみ防止機能」が備わっているため、車内にキーを入れたまま施錠してしまう「車内のキー閉じ込み」(インキー)は発生しないと思われがちです。
しかし今も、年間12万件ものインキ―が発生しているといいます。
キーを持ってさえいれば、ドアに軽く触れるだけでクルマの施錠・解錠ができるスマートキー(電子キー)。
メーカーによっては「スマートエントリー」「インテリジェントキー」などとも呼称します。
クルマとキーが電波のやり取りすることでキーの存在を確認し、クルマの施錠・解錠をすることができるものです。
施錠・解錠のほか、プッシュボタンの操作だけでエンジンの始動もできます。
これらのスマートキーには一般的にキー閉じ込み防止機能が備わっており、キーが車内にあると判断されるとロックがされなかったり、警告音でキーが車内にあることを知らせてくれます。
そのため、キーを車内に残したままクルマが施錠されてしまう、いわゆるインキーは発生しにくいはずなのです。
しかしJAF(日本自動車連盟)によると、いまもキー閉じ込みの救援依頼は多く、2023年には約12万件もの救援要請があったといいます。
これは救援要請理由全体の5番目に多い内容で、事故による救援要請よりも多いほどです。
なぜスマートキーでもキー閉じこみが発生してしまうのでしょうか。
スマートキーの機能はメーカーや車種によってさまざまあるため、一概にはいえないのですが、たとえば荷室にキーがある場合にキー閉じこみの警告音が鳴らない車種もあるようです。
荷室のバックドアだけを開けて積み下ろしをした際、うっかりキーを荷室に置いたまま「ロック」ボタンを押してしまい、キー閉じこみに至ってしまうことが考えられます。
また、スマートキーには盗難防止の仕組みとして、解錠してから一定時間内にドアを開けないと自動的に全ドアが施錠されてしまう「オートロック機能」も備わっています。
たとえば、日産の「インテリジェントキーシステム」の場合、ドア解錠スイッチを押してから約30秒以内にいずれかのドアを開けなかったときは、全ドアが施錠されてしまいます。
スマートキーは、電池残量が低下したり、電波障害などによって誤作動することもあります。
誤作動によってキーが本来の機能を果たせなくなった状態で、たとえば前述のオートロック機能が作動してしまったりすれば、キー閉じこみの状態になってしまう可能性もあります。
■スマートキーをうっかり「インキ―」しないためのシンプルな「対策法」とは
電池残量が十分にあっても、カバンの奥底など電波が検知されにくい場所にキーがあると、キーが車内に残されていることを判断できず、キー閉じこみとなってしまうこともあるようです。
トヨタは「スマートエントリー&スタートシステム」が正常に働かないおそれのある状況として、「電池の消耗や近くにテレビ塔や発電所など、強い電波やノイズの発生する場所にいるとき、無線通信機器を携帯しているときのほか、キーが金属製のものに接しているとき」などの状況を挙げて、ユーザーに対し注意を呼び掛けています。
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このように、スマートキーであってもキー閉じこみの状態になってしまう可能性は十分にあります。
たとえ荷物の出し入れ程度であっても、キーを携帯して乗り降りするのが、もっともシンプルかつ効果的な「対策」となります。
また昨今は、スマートキーの電池の消耗をクルマのインパネなどで警告してくれるクルマが増えています。
警告が表示されたタイミングでは使用に問題がないことから、後回しにしがちではありますが、スマートキーが誤作動することによるトラブルを防ぐため、警告が表示されたら速やかに電池を交換するようにしましょう。