マツダは、東京オートサロン2025にて新たな「MAZDA SPIRIT RACING CX-60 Rally concept(MSR CX-60 Rally)」を展示しました。どのようなモデルなのでしょうか。
■まさかの2人乗り!? MSR CX-60 Rallyとは
スポーティにカスタマイズした市販予定車やレーシングカーを並べた東京オートサロン2025のマツダブース。そのなかで、異彩を放っていたのが今回初公開となった新「MAZDA SPIRIT RACING CX-60 Rally concept(以下MSR CX-60 Rally)」です。
注目すべきポイントは、SUVをベースとしていること。そして「Rally」という名前が示すようにサーキット走行ではなくラリーをイメージした車両だということでしょう。
見た目は「ルーフベンチレーターと大型リヤスポイラーを装着しローダウンしたCX-60」といった感じ。何を隠そう筆者は「ラリーをイメージしたドレスアップ」くらいに考えていたのですが、実車を見てビックリ。「ドレスアップ」なんて言葉では表しきれない程の、本格的なつくりなのです。
たとえばシートは運転席と助手席がレカロ製の超軽量フルバケットタイプで、5点式のシートベルト付き。そしてリヤシートは取り外されています。“SUVなのに2人乗りなんてアリ?“と思ってしまいます。
そのうえ室内にはごついロールバーが張り巡らされ、見るからに競技車両の雰囲気。いっぽうでダッシュボードなどコックピットまわりはアルカンターラ張りとするなど、(フルバケ&リヤシートレスやロールバーとは対照的に)単にスパルタンなだけでなく上質な雰囲気も感じさせます。
果たして、このクルマの正体はなんなのでしょうか。
マツダによると「クロスカントリーラリーカーをイメージしたモデルで市販予定などはありません。『もしCX-60がラリーに出場したら?』というテーマで作られたもので『将来的にはこういうモータースポーツにも挑戦していければいいな』という想いをカタチにした」とのこと。
説明スタッフは「CX-60の走行性能は高く、オフロードでもよく走るんですよ」とも付け加えます。
ちなみにそんなMSR CX-60 Rallyの隣にはラリーマシン風の「CX-5」が置かれていましたが、こちらはコンセプトモデルではなく本物の競技車両。
「XCRスプリントカップ」というラリーに参戦しクラス2位にも入った「TOYO TIRES MAZDA CX-5」で、MSR CX-60 RallyはそんなCX-5のラリーイメージを、ベース車両を変えて表現したモデルと言っていいでしょう。
ところで、この車両にはちょっと不思議な部分がありました。関係者によると「パワートレインはディーゼルマイルドハイブリッド(XDハイブリッド=排気量3.3Lの直列6気筒ディーゼルエンジン+モーター)」とのことでフロントバンパーなどは純ガソリン車とは違うデザインの電動車(モーター付きの車両)用となっています。
ですが、ホイールをみると本来であれば「XDハイブリッド」には設定のないデザイン(ハイブリッドではないディーゼル車用)のもの。
また室内では、センターコンソールのドリンクホルダーが、本来は電動車には設定のない「リッドなし」のタイプとしているのも気になるところです。
つまりホイールはモーターを組み合あわせないディーセルの「XD SP」のものだし、センターコンソール周辺は「XD SP」もしくはガソリン車の「25S Sパッケージ」のものと考えられます。
なぜ、素直にXDハイブリッドのホイールやセンターコンソールを使わないのか…ラリーカーをイメージしたというテーマや本格的な造りに比べたらどうでもいい細かいことですが、ちょっと気になるところですね。