スバルは新型「S210」を「東京オートサロン2025」で世界初公開しました。どのようなモデルなのでしょうか。解説します。
■新型スポーティセダン「S210」登場
東京オートサロン2025にて、スバルから新たなSTIコンプリートカー「S210」プロトタイプが初公開されました。
これはスバルSTIが参戦するニュルブルクリンク24時間レースで培った知見を投入したSTIのチューニングカー。言ってみれば、ニュル直系のロードカーとなります。
市販を前提としており、500台限定で、2025年春ごろに販売方法が発表されるとアナウンスされています。
ちなみに、このSに数字を付けるシリーズは、1998年発表の「インプレッサ22B STI version」がルーツとなり、これまで「S201」から「S202」「S203」「S204」「S402」「S205」「S206」「S207」「S208」「S209」が発売されています。直近の「S209」は2019年に発売されましたが、残念ながらアメリカ専用モデル。
日本向けとしては2017年発売のS208以来で、今度のS210は8年ぶりの登場となります。
S210は、現行の「WRX S4」をベースに、パワートレインからシャシー、内外装にまでSTIの手が入っており、STIいわく「ドライバーがより意のままに車両を操りやすくすることができる操縦性を実現」していると言います。
2.4リッターの水平対向直噴ターボ・エンジンは出力をノーマルの275馬力から300馬力まで引き上げており、スバルパフォーマンストランスミッション(いわゆるCVT)もエンジン特性にあわせてチューニングされています。
足回りには、専用チューニングの電子制御ダンパーと、ブレンボ製ブレーキ、255/35R19インチのタイヤ&BBS製鍛造ホイールを採用。内外装も専用アイテムを数多く採用しており、インテリアではレカロ製カーボンバックレストのレザーシートが搭載されています。
このS210で筆者(工藤貴宏)が個人的に気になったのが、トランスミッションがマニュアルではなく、CVTのスバルパフォーマンストランスミッションが採用されていることです。
それに対して、「東京オートサロン2025」の現場に詰めていたスバルのスタッフは「ニュルのレーシングカーは2ペダルです。ですから、このニュル直系のコンプリートカーが2ペダルであることはおかしな話ではありません。
また、エンジンに合わせたセッティングを行っていますので、トルク、アクセルレスポンスもノーマルとは比べ物にはならないほど高められています」と説明していました。
さらに、ニュルブルクリンク24時間レースを走ったプロのレーシングドライバーにS210を試乗してもらったところ、「このS210を大いに気にいって、買いたいと言うほど」とか。マニュアルミッションにこだわる必要のない、素晴らしい仕上がりになっているというのです。
そうとなれば気になるのは、販売価格でしょう。
ベースとなるWRX S4の最上位グレードの価格は530万2000円となります。これに対して、「S210」はタイヤ&ホイール、そしてレカロ製シートだけでも、200万円以上となるはずです。
先代のS208は、最上位グレードで約710万円でした。物価も7年前からずいぶんと上がっています。
いろいろと高いパーツを使い、物価上昇分も加味すれば、S210の価格は、1000万円を超えてもおかしくはありません。
とはいえ、大台突破は勘弁してほしいというのもユーザー目線の本音でしょう。なんとか1000万円以下で登場してくれることを期待しましょう。