東京オートサロンの常連となっている筑波研究学園専門学校の自動車整備工学科は、「東京オートサロン2025」にポルシェ「356スピードスター」のような外観をした「マーチ 718スピードスター」を出展しました。「マーチ 718スピードスター」とはどのようなクルマなのでしょうか。
■ニッサンノポルシェ?「マーチ 718スピードスター」
2025年1月10〜12日にかけて開催された東京オートサロン2025に、筑波研究学園専門学校の自動車整備工学科は、「マーチ 718スピードスター」を出展しました。
外観はポルシェ「356スピードスター」のようですが、この車両は日産「マーチ」をベースとして板金塗装でボディメイクを施した実習車です。
茨城県土浦市にある筑波研究学園専門学校(TIST)は、専門職業人材を育成するために創設された教育機関です。
自動車整備工学科の基礎課程を終えてから進むことができる車体整備士専攻科は、おもに板金塗装技術を習う学科であり、実習で制作した車両を毎年のように東京オートサロンに出展しています。
同学校の車体整備士専攻科がオートサロン2025に出典した車両は、レトロなスピードスタースタイルに鮮やかな水色を纏わせたマーチ 718スピードスターです。
ベース車両は、車名にあるとおりマーチ。それも1992年〜2002まで10年間に渡って生産され続けた2代目K11型となります。
2代目マーチはバブル崩壊後、コンパクトカーに注目が集まりはじめた時代に爆発的なヒットを記録したクルマです。
コンパクトなボディでありながらスペース効率にも優れ、販売翌年には日本カーオブザイヤーとRJCカーオブザイヤーを受賞。欧州では「マイクラ」の車名で販売され、2代目マーチは日本車として初の欧州カーオブザイヤーを受賞した輝かしい経歴を持つクルマでもあります。
マーチ 718スピードスターの制作課程は、車体やエンジンルームの汚れをきれいにすることから始まり、オープンボディにするために屋根をウィンドウごとカット。
ボディシェルとドア以外の部分はフレーム材を溶接して形をつくった後に外板を溶接し、各部のつなぎ目はパテを使って滑らかに整形することで流線型のボディに仕上げられています。
356スピードスターの伸びやかなデザインを再現するために、車体全長が大きく拡大されていますがホイールベースに変更はなく、ドアもマーチのものをそのまま流用しているとのことです。
ボディカラーは、明るく目立つものが良いということでポルシェのマイアミブルーにも似た鮮やかな水色がチョイスされ、テールランプ等はトレーラー用などの汎用品が用いられています。
ただし、ヘッドライトにはフォルクスワーゲン「ニュービートル」用を使うといった、古いポルシェの慣習を倣ったこだわりも見え隠れします。
走行機構もしっかりと備わっており、エンジンはマーチの1リッター直列4気筒エンジンとオートマチックトランスミッションがそのまま搭載され、メーターはバイクのメーターを流用。
公道走行は認められていないものの、運転席には風防としてウィンドウシールドが追加されています。
今回出典された車両自体は過去の卒業生が制作したもので、オートサロン2016で公開された車両を再塗装するとともに、シートの配色変更など内外装の細部に変更が加えられています。
マーチ 718スピードスターの車名にあるポルシェらしい「718」のコードナンバーは、車両を作成した車体整備士コース第7期生18名で制作したことに由来するそうです。
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とにかく風を切って走りたいという生徒の想いから、ウィンドウすらも取り外したスピードスタースタイルの希望が出され、ベース車両のマーチとは似ても似つかない356スピードスタールックが選ばれたとのことです。
筑波研究学園専門学校の車体整備士専攻科の生徒が作り上げたマーチ 718スピードスターは、オートサロン以外にも茨城県内のイベントなどで展示されることもあります。