雪が降る時、事前の対策としてワイパーを立てているクルマを見かけます。ただし、必ずしも立てておいた方がいいとは言い切れないのですが、「立てる」「立てない」はどのように判断すべきなのでしょうか。
■降雪時のクルマのワイパー、一体どうしたらいいのか…
雪が降ったとき、クルマのワイパーを立てておくべきか、寝かせておくべきか迷うことがあります。
豪雪地帯では「立てておいたほうがいい」とよく言われていますが、実は雪の中ワイパーを立てておくのはメリットとデメリットのどちらもあり、「絶対に立てておいた方がいい!」とは言い切れません。
まず、ワイパー寝かせておいたままにしておくと、ワイパーゴムがフロントガラスに凍りつき、ワイパーがフロントガラスからはがせず動かせなくなることがあります。
すでに雪がやんでいたら、ワイパーが凍りついたままでクルマを走らせても大丈夫ですが、雪が降り続いているのにワイパーが使用できないと前方の視界が確保できず運転できません。
また、ワイパーが凍りついた状態で無理やり動かしてしまうと、ワイパー本体が破損したりワイパーを動かしているモーターが故障したりする可能性があります。ワイパーが動かないと気づいた時点で、無理に使用するのはやめましょう。
一方、ワイパーを立てておくメリットとして、ワイパーゴムがフロントガラスに凍りつくことを防げるということが挙げられます。
くわえて、ワイパーを立てておくと、どれくらい雪が積もっているのかが分かり、フロントガラスの雪かきがしやすくなります。
いっぽうで、ワイパーを立てておくデメリットとしては、雪の重みによってワイパーが壊れる可能性があるということです。
ワイパーの凍結での破損を防ぐために立てておいたのに、結果的にワイパーが壊れてしまうことがあるというのはどういった状況なのでしょうか。
それはあまりの大雪で、まわりの家屋の屋根などからクルマへ雪が落ちてくる可能性がある場合です。
立てているワイパーは無防備な状態なので、立てたワイパーの高さ以上の雪が乗っかったり、雪の落ちてくる方向によっては雪の重みで壊れてしまう場合があります。
それだけの雪が降るのは日本では一部の地域だけかと思われますが、天気予報をチェックしてどれくらいの雪が降るのか予想した上で、夜や日中ワイパーを立てておくのか、寝かせておくのか判断しましょう。
余裕があれば雪が降るシーズンになる前に、ワイパーゴムの状態を確認しておくと安心です。
ワイパーゴムは古くなると硬くなり、両端に亀裂が生じて切れていきます。
ワイパーゴムの両端が切れてくるとその部分が水分を拭き取ることができず、確保できる視界が狭くなって死角が増えてしまいます。
フロントガラスの視界を問題なく保つためにも、ワイパーゴムの状態もチェックしておくとより安心です。
また雪かきをしてクルマをきれいにして運転する際、ワイパーを動かしたときにもしビリビリとした音がしたら無理にワイパーを動かし続けるのはやめましょう。
ビリビリとした音の原因はガラスの汚れやワイパーゴムの劣化、撥水コーティングの影響などが一般的ですが、雪が降るような寒い日はガラスの凍結が原因の可能性もあります。
凍結や霜が確認できたら、氷を取り除くためのヘラ「アイススクレーパー」でガラスをこすったり、解氷スプレーを使ったりしてガラスについている氷をできる限り落としましょう。
そして、氷を溶かす際に注意しなければならないのは、水やお湯を使わないことです。
水だと溶かしているその瞬間はいいですが、時間が経って水が凍り、ワイパーがフロントガラスにくっついたりドアの開け閉めがしづらくなることがあります。
お湯は温度差による熱収縮でフロントガラスにヒビが入る可能性がある上に、冷えたら水と同じように凍ってやっかいな状況になります。
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降雪時にワイパーを立てるか立てないかは、その時の積雪の量によって判断するのが一番です。
判断がつかない場合はワイパーが壊れるのを防ぐため寝かせておき、クルマを動かす際にアイアイススクレーパーや解氷スプレーでフロントガラスから外し、エンジンをかけてデフロスターの温風でフロントガラスを温めるのがいいでしょう。