家の駐車スペースからはみ出るかたちで駐車されているクルマを見かけることがあります。これについて、どれほど道路はみ出してしまうと違反となるのでしょうか。法律の面から詳しく解説します。
■「はみ出た駐車」ちょっとだったら許される?
街中で稀に自分の駐車枠からはみ出して駐車している光景を見かけます。
商業施設駐車場やコインパーキングでは枠に収まっていることが多いですが、とくに自宅の駐車場から道路にはみ出していることがあります。
特に道幅が狭い所では通行の妨げとなる可能性がありますが、はみ出し駐車は交通違反にならないのでしょうか。
自宅の駐車場は、「車庫証明」を取得する際にその場所にクルマが収まっていることを確認しています。
そのため、基本的には道路にクルマがはみ出すことはありませんが、急いでいる時などに煩雑な駐車方法ではみ出すことも。
このような駐車行為に対してSNSでは「曲がり角ではみ出し駐車をされると死角が増えるし、事故を誘発する」や「近所のクルマの車庫入れがしづらくなる」、「隣の家のはみ出し駐車がクソ邪魔」「クルマがはみ出していて通れなかった」などの声が見受けられます。
ではクルマの駐車に関してどのような法律があるのでしょうか。
これは「自動車の保管場所の確保等に関する法律(通称:車庫法)」の第11条に以下のように記載されています。
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第11条 何人も、道路上の場所を自動車の保管場所として使用してはならない。
第2項 何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
1号 自動車が道路上の同一の場所に引き続き12時間以上駐車することとなるような行為
2号 自動車が夜間(日没時から日出時までの時間をいう。)に道路上の同一の場所に引き続き8時間以上駐車することとなるような行為
(条文を一部抜粋)
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つまり道路にはみ出す形で長時間駐車していると、車庫法に該当する可能性があります。
違反と認められた場合は「3カ月以下の懲役または20万円以下の罰金」が科せられる可能性があります(「自動車の保管場所の確保等に関する法律」第17条)。
さらに、はみ出し駐車は車庫法だけでなく道路交通法に抵触するおそれもあります。
道路交通法第44条第1項第2号では「交差点の側端または道路の曲がり角から5メートル以内の部分」の駐停車を禁止しています。
また道路交通法第45条では「駐車を禁止する場所」を定めていて、この第45条の2では、以下のように定めています。
「車両は、第四十七条第二項又は第三項の規定により駐車する場合に当該車両の右側の道路上に三・五メートル(道路標識等により距離が指定されているときは、その距離)以上の余地がないこととなる場所においては、駐車してはならない」
はみ出し駐車した際に歩道や路側帯などにおいて通行の妨げになっていれば、決められた駐車方法に従わない駐車として「駐車禁止場所等違反」と判断される可能性もあるのです。
このように具体的にタイヤがどのくらいはみ出したら違反かの線引きはありませんが、周囲の状況に応じては違反とみなされる可能性も。
■自宅からのはみ出し駐車は「あり得ない!」 その理由とは
なお、前述のとおり自宅の駐車場で「車庫証明」を取得していれば枠に収まるようになっています。
具体的な「車庫証明書」の要件は以下の通りです。
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1 駐車場、車庫、空き地等道路以外の場所であること。
2 使用の本拠の位置(所有者の住所や会社の事務所など)から2キロメートルを超えないこと。
3 自動車が通行できる道路から、支障なく出入させ、かつ、自動車の全体を収容できること。
4 保管場所として使用できる権原を有していること。
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このように保管場所の要件として上記3で「自動車の全体を収容できること」と定められているため、道路にはみ出さないと駐車できないような状態であれば、初めから保管場所として許可は下りません。
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なおはみ出し駐車はご近所トラブルに発展する可能性もあり、SNSでも「はみ出し駐車をしていてご近所に通報された」などの投稿もみられてもおり、そういったトラブルを避ける際にも的確な駐車が求められます。