多くのクルマに採用されている駆動方式の「FF」と「FR」。雪道を走る際には、どちらがより安全なのでしょうか。
■「FF」と「FR」、雪道が得意なのはどっち?
多くのクルマに採用されている駆動方式の、「FF(前輪駆動)」、「FR(後輪駆動)」、「4WD(4輪駆動)」。
この3つのうち、雪道を走る際にもっとも安全だと言われるのが4WDですが、では残りのFFとFRではどちらがより雪道で安全なのでしょうか。
4WDが本当に雪道に強いのかも含めて、解説します。
前提として、どのような駆動方式であったとしても、ノーマルタイヤのままで雪道を走るのは極めて危険であり、スタッドレスタイヤやチェーンを装着することが必須。
この記事で解説するのは、そのような対策をきちんとしたうえでの比較です。
まずFF車は、フロントにエンジンがあるため、そのぶん駆動する前輪2本に荷重がかかります。
前輪が地面に押し付けられると、効果的に駆動力を路面に伝えることができるので、雪道でも比較的安定して進むことができるでしょう。
対してFR車は、FF車と同じくフロントにエンジンを搭載しているものの、駆動するのは車体の後ろに配置された後輪2本。
そのため、発進時には駆動する後輪に充分な荷重がかからないため、駆動力を路面に伝えるのが苦手で、また上り坂では後輪が横滑りすることも。
このように雪道や凍結路ではタイヤが空転してしまうことが多く、直線の道やカーブでもアクセル操作を誤るとスピンする可能性があります。
上記の理由から、雪道を走る際にはFF車の方が安全ということになりますが、たとえFF車は直進するのが得意だとしても、雪道や凍結したカーブを曲がる際には安全のためにスピードを落としましょう。
■「4WD」の場合も注意が必要!
では、4WDが雪道に強いというのは本当なのでしょうか。
JAF(日本自動車連盟)が行った雪上走行テストによると、FF車と4WD車に新品のスタッドレスタイヤを装着して登坂実験をしたところ、20%の勾配になるとFF車は途中でスリップする一方で、4WD車は登ることに成功。
やはり4WD車のほうが雪道に強いことが明らかになりました。
しかし、停止する際の「制動能力」については、同じくJAFの雪上走行テストでFF車と4WD車に大きな差がないことが証明されています。
駆動方式に関わらず、雪道では慎重な運転を心がけなければなりません。
ちなみに、多くのクルマには「寒冷地仕様」が用意されています。
本来FFやFRがメインの車種でも4WDになっていたり、寒冷地用の装備が取り付けられていたりするので、降雪地域で使用することを目的にクルマを購入するのであれば、寒冷地仕様を選ぶと良いでしょう。
※ ※ ※
スタッドレスタイヤやチェーンの装着といった基本的な対策をすることを前提としたうえで、FF車とFR車を比較した場合、雪道を走る際に安全なのはFF車であることを解説しました。
ただし、FF車は直進するのが得意でも曲がる際には注意が必要であり、雪道や凍結したカーブを走行する際は安全のためにスピードを落とすべきでしょう。
また4WD車が雪道に強いことはJAFの実験によって証明されているものの、「制動能力」についてはFF車と大きな差がないことも証明されており、駆動方式に関わらず、雪道では慎重な運転を心がけることが大切です。