「冬はガソリンの減りが早くなる」という説があります。なぜ寒いと燃費が悪くなるのでしょうか。
■冬は「30%」も燃費が悪化する!?
「冬はガソリンの減りが早くなる」という説がありますが、その説を裏付けるように、寒冷地では冬場の月別燃費に“30%弱”の差が出ています。
しかし、なぜ寒いと燃費が悪くなるのでしょうか。
その理由とともに、寒い季節でも燃費を良くする方法について解説します。
まず、先述した「冬場の月別燃費に30%弱の差が出ている」というのは、財団法人省エネルギーセンターによる「燃費データの季節変動に関する調査」によるものです。
調査によると、寒冷地では上記のような差が出ている一方、温暖地では冬場の燃費に大きな差はないことが判明しており、やはり厳しい寒さが燃費に影響を与えているのは間違いありません。
その原因としては、「雪道の走行」「外気温が低いためエンジンが温まるまでに使用する燃料が増える」、そして「暖房を使用するためのアイドリング時間の増加」などが挙げられます。
まず、寒冷地の冬ではスタッドレスタイヤの装着が必要不可欠となりますが、スタッドレスタイヤは積雪路面や凍結した路面にしっかりとグリップするよう、ゴムが夏用タイヤよりも柔らかく作られています。
そのため路面との接地面積が広くなり、摩擦が増えることになるので、夏用タイヤよりも燃費が悪くなるのです。
そのような状況でも燃費を良くするための方法は2つあり、1つは「エアコンの『A/C』スイッチをオフにする」こと、もう1つは「暖機運転をやめる」ことです。
エアコンの操作パネルにあるA/Cスイッチは、エアコンコンプレッサーのオン・オフを切り替えるスイッチであり、オフにすると「送風」、オンにすると「冷房・除湿」になります。
クルマ暖房機能はエンジンの排熱を利用して暖めた空気を車内に送るため、コンプレッサーを使わず単純な送風状態でも、設定温度を上げれば充分に暖かい風が出てくるのです。
ただし除湿が機能しなくなるので、雨の日や雪の日のような湿気の多い日には窓ガラスが曇るというデメリットがあります。
晴れていて乾燥している日はオフ、湿気の多い日はオンにするといったように、臨機応変に使い分けると良いでしょう。
また、燃費に影響を与える原因として「暖機運転」も挙げられます。
暖機運転とは、エンジン始動後にすぐにクルマを動かさず、エンジンが温まるまでアイドリング状態で待機したり、走り始めから一定時間は激しい操作を控えて運転することを指し、昔は必要とされていたクルマの取り扱い方法のひとつでした。
しかし現代のクルマは暖機運転が不要となっているため、エンジン始動後すぐに通常通りの運転を始めても問題ありません。
また、フロントガラスが凍結したり、霜が降りてしまったときに、暖房やデフロスターが効くまで待つことも燃費を悪化する要因です。
こうした状況でも、先述したようにアイドリングは燃費の悪化につながるため、カー用品店で販売されている「解氷剤」や、ネット通販で購入できる「霜取り用のスクレーパー」を使用して、なるべくアイドリングする時間を減らすことをおすすめします。
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このように、厳しい寒さが燃費に与える影響が大きいのは間違いなく、寒冷地で燃費が悪化する原因について解説しました。
そして、寒冷地の冬でも燃費をよくするための方法は、「エアコンの『A/C』スイッチをオフにする」ことと、「暖機運転をやめる」ことの2つです。
昔と違って今のクルマは暖機運転が不要であり、エンジン始動後すぐに通常どおりの運転を始めても問題ありませんが、湿気の多い日にA/Cスイッチをオフにすると窓ガラスが曇るため、晴れていて乾燥している日はオフ、湿気の多い日はオンにするといったように、状況合わせて使い分けることが大切です。