オービスの前には必ず設置されている「予告看板」ですが、設置場所や看板のデザインにはどのようなルールがあるのでしょうか。
■「予告看板」を目印にオービスがどこにあるか分かる!?
日本の道路交通における安全管理の一環として設置されている「オービス(自動速度違反取締装置)」は、多くのドライバーにとって馴染み深い存在です。
しかし、その“予告看板”の設置ルールや役割については、あまり認知されていません。
本記事ではオービスの予告看板に関する設置基準や地域差、さらにその目的について詳しく解説します。
オービスとは、スピード違反を検出し、自動で記録する装置の通称で、元々はアメリカのボーイング社が開発した商標製品名でした。
現在では、日本国内においても一般的に固定式や移動式の自動速度取締装置を指す用語として使われています。
固定式オービスは一般道で30km/h以上、高速道路で40km/h以上の速度超過が対象となる一方、移動式オービスはさらに厳しい基準で、15km/h超過から撮影されるケースも過去にあるとのこと。
また2021年から、固定式と移動式のメリットを合わせたような半固定式オービスも導入され、取締りが一層強化されました。
そんなオービスの設置箇所の手前には、予告看板が設置されています。
この看板の目的は、主に次の点にあります。
・プライバシーの保護
オービスの撮影により、運転者や同乗者の顔や車両ナンバーが記録されるため、看板で事前に注意喚起を行い、肖像権やプライバシーを尊重する意図があります。
・交通事故の防止
ドライバーに減速を促すことで、交通事故のリスクを低減する効果が期待されます。
・透明性の確保
突然の取り締まりではなく、予告を行うことで取り締まりの公平性を保つ役割を果たしています。
また、オービスの予告看板は地域によってデザインや内容が異なります。
主な例を下記に記します。
・北海道…黄色の背景に黒字で“自動速度取締路線”と記載。
・関東地方…青色の背景に白字で“自動速度取締機設置路線”と記載。
・山陽地方…白地に赤字と緑字で“スピード落とせ 速度自動取締機設置路線”と表示。
・沖縄県…英語の“SPEED CHECK”も併記された看板が特徴的。
このように、看板のデザインや大きさ、文言は地域ごとに異なりますが、どの看板もドライバーに減速を促す明確なメッセージを持っています。
■オービスの予告看板の違い
固定式オービスの場合、予告看板は設置場所から500m手前、1km手前、2km手前など複数箇所に設置されることが一般的です。
ただし、全国で統一された設置基準は存在せず、地域ごとの運用方針に委ねられています。
半固定式オービスも固定式オービスと同様、手前に必ず予告看板が設置されています。
一方、移動式オービスは設置される場所が柔軟であるため、予告看板が設置されない場合もあります。
その代わり、インターネットやSNSを通じて告知が行われることがあります。
移動式オービスの看板は持ち運び可能な簡易型で、道路の路肩、中央分離帯、歩道などさまざまな場所に設置されます。
小型の看板も多く、ドライバーが見逃してしまうケースも少なくありません。
オービスの予告看板設置は、単なる注意喚起に留まらず、法的な背景も持っています。
過去には、オービスによる撮影が憲法で保障されたプライバシー権を侵害しているか否かを問う裁判が行われました。
この裁判では、オービスの撮影は“憲法13条に違反しない”との判決が下されていますが、それでも予告看板が設置されるのは、ドライバーに事前告知を行うことで透明性を高め、社会的信頼を得るためです。
なおオービスの撮影を回避するために、ナンバープレートを隠したり、マスクやサングラスで顔を覆ったりする行為は違法であり、取り締まりの対象となります。
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このようにオービスの予告看板は、交通の安全性向上やプライバシーの保護、そして透明性の確保といった多くの目的を果たしています。
地域による違いはありますが、これらの看板はドライバーへの重要なメッセージを伝える役割を担っているのです。
オービスの有無に関わらず、日頃から法定速度を意識し、安全運転を徹底しましょう。