「赤く光ったのですが、オービスでしょうか?」 道路上の謎の「赤い光」不安になる人も…“恐怖の手紙”とは無関係「オービスもどき」って実際何が違うのか
■「オービス」か!? 実は無関係な機械の場合も
高速道路や幹線道路などでクルマが速度超過した場合、自動で検知して写真撮影する「オービス」という設備があります。
道路の上空のバーにカメラが取り付けられていて、通行時は思わずドキっとしてしまいますが、実は「オービス」ではない場合もあります。
「もしかして今、撮影されたかも…」と不安になるかもしれませんが、実際どうなのでしょうか。
オービスは正式名称を「速度違反自動取締装置」と言います。
事前に手前でレーダーや地下のループコイルで速度を検知し、速度超過があった場合、上空のカメラで当該車両を撮影します。
ナンバーはもちろん、ドライバーの顔も鮮明に記録されるため、言い逃れはできないというわけです。これをもとに後日、管轄の警察署や警察本部から“恐怖の手紙”と言われる「出頭通知書」が自宅(クルマの登録住所)へ送られてきます。
自分がスピード出し過ぎだと自覚している場合、カメラが視界に入ると思わずブレーキを掛けて適正速度へ落とすドライバーも多いでしょう。しかし急減速は後続車に対して追突を招く危険な行為ですし、そもそも速度違反はご法度です。事故を起こせば「危険運転」に認定され、重罰が課される可能性もあります。
オービスが作動した瞬間の最大の特徴は、「ピカッ!」とまぶしいフラッシュが焚かれることです。これが光った瞬間に、すでに記録されていて、時すでに遅しというわけです。
ところで、「カメラのようなものがある」施設は、必ずしもオービスではありません。
最も多いパターンが「Nシステム」という端末です。いかにも「監視してます」という風貌で、機種によってはカメラの下などに1~2つの赤いランプの様なものがあります。いかにも「速度違反すればピカッと光ります」と言いたげです。
しかしこれは速度取り締まりとは無関係で、正式名称は「自動車ナンバー自動読取装置」というもの。
基本的に通過するクルマすべてで、ナンバーを読み取って記録しています。この通過データベースは、たとえば逃走中の犯罪者がいつどこを通過したかという捜索にも役立っています。通常であれば、Nシステムで読み取られた自分のナンバーが、自分の個人情報に紐づけられて利用されることはありません。
では、思わせぶりな「赤いランプのようなもの」は一体何なのでしょうか。交通機器メーカーOBは「メーカーによって様々なですが、おそらく赤外線を照射する部分でしょう」と話します。
カメラというのは、被写体で反射してきた光をセンサーで検知することで、「写真の風景」を作り出しています。しかし夜間は光が無いので、わざわざ光を照らさないと、そもそも「反射光」がカメラにやってきません。
通常の可視光をクルマごとにピカッと光らせると眩しいので、目に見えない赤外線を照射しているのです。
ところが、ネット上をはじめ「赤く光った」「多分Nシステムだと思うけど…赤く光った気がする。オービスだったら終わり」という声が散見されます。赤外線は目に見えないのに、どういうことなのでしょうか。
これに関して前述のOBは「ヘッドライトか街灯の光が、赤外線照射部の表面に当たっただけじゃないですかね。パトカーのランプのように、赤色の樹脂を使っているので、光があたると赤く見えます」と話します。
もちろん「赤く見える」程度ですが、取り締まりにビクビクしていると、その赤色が「ピカッと光った」ように大げさに認知されるのかもしれません。
では、実際に「オービス」なのか「Nシステム」なのか判定する方法はあるのでしょうか。
最大の違いは、オービスが設置されている場合、原則として手前に「この先速度取締中」や「自動速度取締機設置区間」などの警告看板が掲示されていることです。この看板のすぐ先にあるのはオービスだと思っていいでしょう。
形状でも、「ピカッ」と光らせるためのストロボは、それ単体で大きなものです。カメラの隣に、大きく口を開けた箱のようなものがあれば、ストロボの可能性があります。
ただし、それを視認してはじめてスピードを落としても、すでにスピード検知済みかもしれません。先述のとおり、急減速は思わぬ追突を招く危険があり、事故を起こせば厳しい罰則が課せられる可能性があります。
さらに、近年は「可搬式オービス」も普及しています。警察官が手で運んで路側に置くもので、場所もタイミングもまさに「神出鬼没」で、赤色や白色の光がピカッと光れば、すでに違反を取られたということになります。