川崎市は2025年1月23日、京急大師線の地下化事業について、1期区間の西半分を2026年度に着工していく方針を明らかにしました。
■いよいよ具体的な方針が明らかに
川崎市は2025年1月23日、市議会まちづくり委員会を開催。
そのなかで、京急大師線の地下化事業について、1期区間の西半分を2026年度に着工していく方針を明らかにしています。
京急大師線は、京急川崎駅で本線から分岐し、川崎大師を経由して、海側の工業地帯にある小島新田駅までをむすぶ4.5kmの路線です。
支線ながら主要な幹線道路を何本も踏切でまたいでいくため、あちこちで「踏切待ち渋滞」が発生し、社会問題となるほどでした。
特にひどいのが、東京~横浜間の臨海部の主要南北軸である「産業道路」を遮断する踏切でした。単純計算で1時間あたりのべ20本の電車が通過していくため、1日に4時間以上も踏切が閉まっている状況で、渋滞は平均1kmにも達していました。
そこで、この産業道路を含む約1kmが真っ先に地下化され、2019年に完成。地下駅となった産業道路駅は「大師橋駅」に改称されました。
さて、この地下化事業はこの工区だけでなく、川崎大師駅東側までが全体区間となっていて、東門前駅と川崎大師駅も地下化されます。
完成すれば、新たに6か所の踏切が解消予定。特に川崎大師駅を両側ではさむ国道409号の踏切が解消されることで、渋滞緩和にも期待がかかります。
しかし、この1期第2区間が、なかなか進展を見せてきませんでした。その理由は「頓挫した別計画の後始末」にあります。
実は、本来の地下化計画は大師線全体におよんでいて、「京急川崎~川崎大師」は「完全な別ルート」で地下を走ることになっていました。しかし、2017年にこの西側区間は正式に事業中止となりました。
その「別ルート」が大師線に合流してくるのが東門前~川崎大師間で、別ルート整備の都市計画がまだ生きているため、まずその都市計画を変更して、「元のルートをそのまま地下化する」という内容にする必要に迫られたのです。
今回、そのあたりのスケジュールに、具体的な道筋がようやく示されました。
資料では「2026年秋ごろに都市計画変更、2027年春ごろに着工」と明記されています。地下化切り替えは「2037年度」の予定となっています。
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ちなみに、頓挫した西側区間の立体交差化ですが、川崎駅北側で国道409号と交差する「本町踏切」がやはり混雑が激しいため、この周辺だけ高架化もしくは地下化する「新構想」が動き出しています。
今回の委員会の資料でも、この構想は「代替案」として、前向きに進めていくようスケジュールが組まれています。