降雪時にクルマの「ワイパーを立てる」か「立てない」か、どちらの意見も存在します。一体どちらが正しいのでしょうか。
■ワイパーは立てるべき? どっちが正解なのか
実はどちらも正解であり、駐車する際の環境によって使い分ける必要があるのです。
では一体どのような環境においてワイパーを立てておくべきで、逆にどのような環境では立てない方がいいのか、根拠とともに解説します。
まず、ワイパーを立てておくべきという意見が存在する理由について、降雪量の多い地域の自動車ディーラーの担当者に聞いたところ、以下のような回答が返ってきました。
「ワイパーを寝かせたままにしておくと、凍ってフロントガラスに張り付いてしまう恐れがあります。
あらかじめワイパーを立てておくことで、フロントガラスにワイパーが張り付くことを防ぐことに繋がります」
ワイパーがフロントガラスに張り付いてしまった場合、温まって溶けるまではワイパーを使用できないので、雪が降っている状況では運転できません。
そして凍りついたワイパーを無理やり動かそうとすれば、ワイパー本体や、ワイパーを制御するモーターが壊れてしまう危険性もあります。
次に、ワイパーを立てない方が良いという意見が存在する理由ですが、大雪のときや屋根からの落雪が予想される環境の場合、立てたワイパーの上に雪がのしかかって、ワイパーを折ってしまう危険性があるからです。
ワイパーが折れた場合、一般的な車種であれば修理代は数千円程度ですが、雪が降り続けているような状況ではワイパー無しでは運転できないため、修理に出すのも容易ではありません。
上記のことから、「そこまで大雪ではない日で、クルマの上に屋根がなく、ワイパーの上に落雪してくる恐れがない環境では、ワイパーを立てておくべき」、逆に「大雪の日やクルマの上に屋根があり、ワイパーの上に落雪してくる恐れがある環境では、立てないほうがいい」というのが正解と言えます。
■ワイパー以外にも、降雪時にするべきこととは!
もしもワイパーを立てないでおいて、万が一フロントガラスに張り付いてしまった場合は、水やぬるま湯をかけ、ゆっくりと氷を溶かすようにします。
熱湯を使うと急激な温度差によってフロントガラスが破損してしまう危険性があるため、使用するのは必ず水かぬるま湯にしましょう。
この手順を踏まずに無理やり剥がそうとすると、ワイパーのゴム部分が破損したり、フロントガラスにワイパーゴムの一部がこびりついてしまうことがあります。
たとえ急いでいる状況でも、冷静に上記の手順を踏んでください。
そのほか、降雪時にクルマに乗る際は、屋根に積もった雪を降ろすことと、ワイパーの付近にあるエアコンの外気取り入れ口に付いた雪を除去しておくことも大切です。
屋根に積もった雪は、ブレーキを踏んだ際に滑り落ちてきてフロントガラスに覆いかぶさり、視界をふさいでしまう危険性や、後続車に雪塊を落としてしまうこともあります。
そして外気取り入れ口の雪を取り除いておかないと、エアコンの効率が悪くなるため、必ず乗車前に除去しておきましょう。
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このように、降雪時は「雪の量」や「周囲の環境」によって、ワイパーを立てるかどうかを判断し、またクルマを動かす際は安全な方法で雪や氷を除去することが大切なのです。